一人一律10万円の特別定額給付金の申請受付が全国の自治体で始まった。10万円の使い方について、キャリコネニュース読者からもさまざまな声が挙がっているが、中には中学2年生の息子から「使わせてくれないなら学校行かない」と言われたという保護者もいた。
給付金はニュースなどでも大きく取り上げられており、一人10万円が配られることを知っている子ども多いだろう。ただ、10万円ともなると中学生には大金だ。下手に全額を渡すと金銭感覚がおかしいことなりかねない。実際、子どもの給付金10万円はどうすべきなのだろう。
「10万円はお小遣いではない。学校など教育機関でもしっかり伝えるべき」
教育評論家の石川幸夫氏が保護者に聞き取りをしたところ、小遣い以外に給付金から保護者が子どもに渡す”自由に使っていいお金”は、小学生で5000円(低学年は1000~2000円)、中学生で1~2万円という人が多いという。高校生は、中学生と同額か若干多い程度。石川氏は、
「残りは塾代など教育費に使う家庭が多いです。それ以上の額を渡すとなると、何に使うのかしっかり聞く必要があります。子どもに10万円を渡す一般家庭はほぼないでしょう」
と話す。仮に10万円をすべて子どもに渡した場合、「あの子は全額貰った」という情報が流れる。その結果、いじめが発生し、差別や恐喝の対象になる可能性もあるという。
「10万円はお小遣いではなく、緊急事態宣言下での国からの給付金。学校など教育機関でもしっかり伝えるべきです」(石川氏)
「保護者だけが趣味に使ってしまうのは、子どもからすれば許しがたい行為」
子どもから「なぜ自由に給付金が使えないのか」という発言が出ることについては、「普段から親子間コミュニケーションが不足していることが背景にあるのでは」と指摘する。
コロナ禍によって収入が減少してしまったので、給付金は生活費に使うという人も少なくはない。家庭の経済事情がわからないと、なぜ自分は自由に使えないのか、と不平を抱いてしまうだろう。
「ただ、子どもには自由に使わせず、保護者だけが趣味に使ってしまうのは、子どもからすれば許しがたい行為です。子どもがいる家庭だと、給付金は個人のものというより『家族で使うお金』です」
その上で石川氏は「なぜ給付金が配布されるか、どのように使うかを家庭でしっかりと説明する責任が保護者にはあります」と話す。昨今、親子間コミュニケーションが薄れている家庭が増えているが、新型コロナで在宅ワークになり交流が増えた家庭もある。
「こういう機会だからこそ、親子でコミュニケーションをとり意思疎通のチャンスになるのではないでしょうか。子どもが給付金に対してどう考えているのか、何がしたいのかをしっかり聞いてください。給付金にはそういう使い道もあります」