外資コンサルを退職し、1年半世界一周をした後にみえた世界 「あえてゴールは決めない」「いまが楽しければそれでいい」 | キャリコネニュース
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外資コンサルを退職し、1年半世界一周をした後にみえた世界 「あえてゴールは決めない」「いまが楽しければそれでいい」

【村上 亮太】株式会社サーキュレーション 執行役員

【村上 亮太】株式会社サーキュレーション 執行役員

大学卒業後、ボストンコンサルティンググループに入社。 4年後には、計画通り退職し、学生時代からの夢である1年半の世界一周旅行に出た村上亮太氏。

夢を達成し、一度燃え尽きた後に生まれた人生観は、「中長期のゴールを持たない生き方」。 帰国後、株式会社サーキュレーションの創業から参画し、現在執行役員である村上氏の核心に迫ります。

「エクセルの“1”の後ろにある“ひとりの人生”」をカラー映像で再現できるほど想像する。人生の重みを実感した BCG 時代

—— 大学卒業後、最初に入社されたボストンコンサルティング(以下、BCG)で、いちばん印象に残っているのは何ですか?

入社 2 年目にアサインされたある企業の、約 3,000 人をリストラし、立て直すというプロジェクトです。

当時は、まだ 2 年目で「リストラ」そのものへの実感値があまりないんですね。エクセル上で3,000 人を人件費という数値としてしか見ていないので感覚も麻痺していました。

あるミーティングで、先輩に「この部門のリストラ対象は 13 人とあるが、この小数点はどうなっている?」と聞かれて、エクセルのもとの設定がわからず「たぶん繰り上がっていると思います」と答えると、めちゃくちゃキレられたんです。「その数字が繰り上がる、繰り下がるで、1 人の人生が変わるんだぞ!」と。そこでようやくエクセル上の“1”がひとりの人生の“1”だと思い出せたんです。

それ以来、数字やものごとの背景を想像するようになりました。数字の裏にあるそのひとの物語をカラー映像で再現できるほど想像します。日々忙しいと、つい“1 件”と数字で扱ってしまいがちですが、その“1件”の奥にある物語は毎回違うし、それを自覚することで仕事は楽しいものになります。

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—— その先輩はかなり厳しい人だったんですか。

1 つ年上でいわゆる天才でした。私が 10 いうと、そのすべてに正しい答えが返ってくる。そうなると私の貢献できる領域はゼロ。ミジンコほどに(笑)自分が役に立たない。当時は、常に自分の付加価値を毎日問われるような職場でしたから、大げさでなく病みそうになりました。

プロジェクトを途中で抜けるのは、極端にいうとクビを覚悟するような行為なんですが、これでは自分が潰れると思って抜けました。それぐらい自分の価値のゼロぶりにやられたんですね。もちろん仕事は全力でやる。ただし仕事よりも人生が大切です。今でも仕事以上に大切なものを確認することは心がけています。

世界一周旅行で燃え尽きて……あえてゴールは見つけなくてもいい、というゴールにたどり着く

—— 高校時代からの夢であった“世界一周旅行”を達成するために BCG を 4 年で退職されたそうですね。世界一周というひとつのゴールを達成されて、その後“ゴール”は意図的に決めていないとお聞きしましたが……。

そうですね、いまはありません。意図的にゴールを決めていないというより、見つかっていない、といった方が正しいかも知れません。

最初から BCG は 3 年で辞めると決めていました。世界を幅広く見ずに死ねないなという思いで 60 カ国ほどまわって帰国して……、実はひとつのゴールを達成して燃え尽きたんです(笑)。

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帰国後は世界一周に値するような次のゴールを探しつつ、複数のベンチャー企業を手伝いながら、どこかで「しっくりこないな」と日々感じていました。3カ月程たったところで、ふと「この先に何かないと、今が充実しないわけではない」と思ったんです。まぁ、うだうだゴールを考えながら動いていることに飽きたのかもしれません(笑)。生来「いま楽しければいい」という刹那主義的な部分もあって、何年後かのある瞬間のために、今日明日を犠牲にするという考え方が嫌いなんですね。

私は、人生とは登った山の高さや歩いた道の険しさではなく、1 歩 1 歩を歩く姿勢にあると考えています。どの山頂に登るか明確な方が 1 歩を踏み出しやすいのは確かですが、ゴールである山頂が決まっていなくても正しい姿勢では歩ける。

重要なのは、いまの瞬間が自分にとっていい時間であること。そう思って過ごしているうちに、5 年後 10 年後に実現しておきたいゴールというのが出てくるかもしれないと思っています。

“丸くて赤いりんご”を、“四角くて青い”という人こそ、いっしょに仕事をして面白い

—— 帰国後、最終的にサーキュレーションへの入社を決意して、創業から参画されますが、きっかけは?

コンサルティングをずっとやってきたので、「事業側にいきたい。どうせなら、ゼロから経験したい」と思っていたんです。それでスタートアップ企業を探しているうちに、たまたま縁があって現代表の久保田に出会いました。これから創業しようと思っているという話を聞いて、参加は即決でしたね。

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—— 決め手になったのはやはり事業内容が、村上さんの思っているものにあったと?

事業内容も非常に魅力を感じましたが、いちばんは“人”です。久保田はもちろん、他のメンバーも魅力的でした。自分と真逆なところが面白いなと思ったんです。久保田でいうと、これをいうと本人に怒られてしまうんですが、ギラギラした“豪腕営業”みたいな印象でした(笑)。

—— 自分とはまったく違うタイプの方々と働く魅力というのは何でしょうか。

私は「いろんなことを経験したい」「いろいろな視点でものごとを見られるようになりたい」という欲求が強いんです。だから“丸く赤いりんご”を“四角くて青い”というひとと接する方が単純に楽しいし、人生が豊かになるような気がするんですね。

それに、私はどこか人間をシステムとして捉えているところがあって、OS レベルでの変化を起こせる何かがないと、相手に対して退屈だなと感じてしまう。自分と異なるタイプの人と働くのは、自分がこれまで当然だと思ってきたことが覆ってしまう、そんな経験やきかっけを持てるチャンスだと思うんです。それが魅力ですね。

仕事においても、自分自身が新しい視点によって“気づき”があることが好きです。クライアントの視点が切り替わり、「こんな視点や考え方があるのか」と気づきを得ている瞬間は、自分ごとのように嬉しく感じます。

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—— その気づきを起こすために意識していることはありますか。

単純にいろんな世界の人と会うことを心がけています。それと哲学に近い領域が好きで、ものごと自体の定義や捉え方に疑問を投げかけてくれる書籍は、よく手にとりますね。

自分の子どもが入社した“株式会社日本”の 20 年後 30 年後を、必ず再生する

—— いま現在、村上さんが仕事のやりがいを感じるのはどんなときですか。

以前は、自分の目の前にいるクライアントの課題を解決して、感謝されることがやりがいでした。でも子どもが生まれてから、さらに自分のやったことが「日本という国で人が豊かに暮らすこと」に貢献することが、やりがいになってきています。

—— お子さんの誕生で、やりがいの対象が目の前のクライアントから社会へと広がったということでしょうか。

そうですね。いま 2 歳と 0 歳の子どもが 10 年後 20 年後暮らす日本がどうなっているかと、長い時間軸でものごとを捉えるようになったんです。あらためてそう考えると「日本はやばい」という危機感は今まで以上に強くなりました。

たとえば、日本をひとつの企業だと捉えると、株式会社日本は加工業の老舗メーカーで逆三角形の高齢化したピラミッド構造の会社。定年後の人間が株を持ち経営に参画し、社員は誰も経営に期待していない。新人教育は詰め込みでルールをどう守らせるかだけに注力している、そんな会社です。こんな会社にふたりの子どもが入社したようなものなので、これはやばいなと感じています。

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—— では、いまの日本に何が必要だとお考えですか。

日本は元々資源が少なく、ヒト資源すら減少していく国です。知的財産を活用したイノベーションが必要です。よく、中小企業にいい技術が埋もれているという話を聞きますが、その発想自体が日本の経済にとってよくないと思います。重要なのは、今ある技術をどう活かすかではなく、”目指す社会や生活の実現に向けて必要な技術”を適用する、場合によっては開発していくという発想。そこにもっと時間を割くことが大事だと思います。

これまでの社会において、100 年単位で世の中を変えるようなイノベーションは技術革新から生まれてきました。これからも技術の話なしにはビジネスや生活は語れないでしょう。 しかし日々の経済を発展させ、生活を豊かにするようなイノベーションは、実は技術領域以外の知的財産から生まれることが多いと私は考えています。

技術はイノベーションに必要なひとつの要因であると捉え、ビジネスの仕組みや、人への洞察、物事の捉え方など、異分野の知的財産を積極的に取り入れ、組み合わせるという柔軟性が、ビジネスとしてイノベーションを成功させるためには必要です。そうすることで、課題山積の日本にあっても、豊かに暮らしていける社会をつくっていけると思います。 サーキュレーションならそれができると考えていますし、それに全力で取り組んでいる”今”を楽しく過ごさせてもらっています。

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