『ガンダム』の実写映画化、果たして成功するのか 過去には”残念なシャア”が登場したケースも
実写化。この言葉を目にするだけで、ニヤニヤしてしまう人も多いはず。『デビルマン』やら『エイトマン』やら、とにかく無理に実写化したことでチープになっちゃった失敗例は山ほどある。
僕なんて、「実写版○○」ってワードを見るだけで笑ってしまうし、実写版『進撃の巨人』2部作も明らかな地雷ながら敢えて踏み抜き、観たあとに後悔をしたクチだ。実写化は危険な賭けで、大体失敗する。成功例ももちろんあるんだけど、そう思えてならない。それなのに、『機動戦士ガンダム』の実写映画化が決定したというのだ。(文:松本ミゾレ)
ガンダムと実写って食い合わせが悪い?
1979年に放映が開始された『機動戦士ガンダム』。ロボットアニメの金字塔として未だに多くのオタクに愛されている。これまでの報道によると、Netflixでの配信が予定されており、監督はジョーダン・ヴォート=ロバーツ。現在36歳のこの若き気鋭のクリエイターは、2017年公開の『キングコング: 髑髏島の巨神』のメガホンをとっていた人物でもある。
この映画はハリウッドのモンスターバースシリーズの中で、のちにゴジラと戦うこととなるコングの活躍を描いた作品。リバーデビルやスカルクロウラーなど、魅力的過ぎる怪獣が次々に登場するため、日本の特撮ファンにもおおむね好意的に受け止められていた。
そんな手堅い作品を作れる監督であれば、いくら実写版ガンダムとは言え、そこまでおかしなことにならないのでは? という思いもしないでもない。だけど、ガンダムを実写にするってこれが初めてのことでもないし、成功しているという声もあんまり聞かない。
たとえば1996年にはバンダイが『GUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTH』というプレイステーション向けのアドベンチャーゲームをリリースしている。本作には『機動戦士ガンダム』のキャラが登場するんだけども、オール実写キャスト。それも俳優がコスプレをしているようにしか見えない、言っちゃなんだけどクオリティが極めて低かった。
なにせ、登場人物の人種が原作と違うとか、赤い彗星のシャアが思いっきりケツアゴ男性でアニメ版の雰囲気が皆無とか。そういう失敗事例の宝庫みたいな人選になっていたのでゲームファンからも、ガンダムオタクからも失笑されてしまっている。
しかもそのケツアゴシャア、なんか妙にむっちりと太っているのも目に悪い。それはそれは残念なシャアだった。僕はあのゲームを友達が遊んでいるのを横目で見ながら「バンダイも罪なゲームを送り出したな」と思ったものである。ちなみに肝心のゲームの仕様も、はっきり言って面白くなさそうだった。
『G-SAVIOUR』のCGは意外と悪くなかった
ガンダムの映像作品が実写で作成された事例として忘れてはいけないのが、『G-SAVIOUR』だろう。1999年に発表された本作は、カナダと日本が共同制作したドラマ作品であり、れっきとしたガンダムシリーズの一端でもある。
前述のクソゲーと同じく、登場人物は役者が演じているが、原作を踏襲していないオリジナルキャラが活躍するので、そういう意味では原作との差異も気にならず、違和感が薄かった。僕もだいぶ前にこの映像作品はレンタルして視聴したが、思ったほどモビルスーツのCGのクオリティが低くなくて驚いた記憶がある。
ただ機体のポージングがちょっと慣れてないというか、関節の緩いガンプラみたいなポーズが悪目立ちしていたのがつらかった。ドラマの内容については、ちょっと覚えてない。
それから時代を経て、2021年。映像制作のクオリティはみるみる向上しているので、今の技術でモビルスーツがどう描かれるのか。その点は今回の実写映画化における、個人的に一番気になるポイントだ。
ゲームファンにおなじみの『モンスターハンター』も実写映画として絶賛公開中だが、期待せずに観に行った知人曰く「CGが凄い」とのことだった。CGの凄さは僕もガンダムで体感したいので、実写版の公開を今から楽しみに待っておこうと思う。
ちなみにこのコラムを書いている4月13日の昼現在、Twitterではハッシュタグつきで「ガンダム実写化」、「髑髏島の巨神」などの関連ワードがトレンド入りしている。大勢が期待しているというわけだ。2017年にジョーダン監督は怪獣ファンの期待に見事に応えた。今度はガンダムオタクを感動させてくれるに違いない!