「女性はピンクが似合う。スイーツが好き」と決めつける上司に「ピンクを見ると虫唾が走ります」と伝えた結果
すべての女性が「ピンクが好き、スイーツが好き」とは限らない。むしろ嫌いで、上司にまで「返品します」と猛抗議した人がいる。それは長野県に住む40代女性(年収600万円)で、「昭和50年代生まれだと、まだ性差別はごりごりにありました」とジェンダーギャップに対する苛立ちを語った。
「私は子どもが嫌いで、子どもがいないのですが、会社に育休の方が子連れで挨拶や復職の相談に来ると、面談中必ず女性が子どもの相手をさせられます」
仕事中に得意でもない子守りを押し付けられる現状に、憤りを隠せない様子だ。(文:篠原みつき)
「女性にはピンク」と思っている上司は「早く異動か定年退職してほしい」
「最近はましになったにはなったのですが、女性はこうであるはず、という決めつけがまだ世間には横行しています」と指摘する女性。前述の子守りに関しても、こう説く。
「子どものいない女性よりは、子育て経験のある男性の方がいいでしょうに、『女性なら子育てしていなくてもそれなりにできるはず』という思想があるようです。自分の仕事を頓挫させなくてはならないので理不尽です。しょっちゅうあることではないとはいえ、持ち回りにしてほしい」
また、ファイルなど文具を会社から支給されるときにも「女性だから」と「勝手にピンクや赤にされるのも苦痛」だという。
「青や緑の方が好きなので、庶務に交換に行きます。机の前には青と緑、紫のファイルしかなく、寒色の方が好きだとアピールしても、配られる事務用品はピンクです。『女性にはピンクが似合う』と思っている上司がいるので、早く異動か定年退職してほしいものです」
旧態依然とした決めつけを、苦々しく感じることが多い様子だ。
「40代の女にシュークリームやプリンで大喜びしてもらおうとは浅はかです」
頭の痛いことに、「女性はスイーツ好きと決めつけられるのもきついです」とも訴える。
「私は余程疲れている時しかあまいものをとらず、嫌いと言ってもいい粋です。チョコよりポテチ派です。 なのに、甘い菓子折り(手土産って大抵甘い)があって配布され余りが出ると、女性だけもう一回りね、といらない菓子を配られます」
これはまだ、お菓子好きな人にあげてしまうので問題ないというが、酷い時には上司から「頑張ったからご褒美」と、コンビニスイーツを渡されるという。これには怒りすら感じるらしく
「40代の女にシュークリームやプリンで大喜びしてもらおうとは浅はかです。せめて缶コーヒー、いやなんならエナジードリンクにして欲しい。ともあれそんなお菓子は、上司から貰ったので人にあげられず、通勤電車で崩れたそれを、結局賞味期限切れで捨てます」
と無駄になってくお菓子の末路を打ち明けた。そもそも元凶は、現在の上司にある。女性の会社では一度バレンタインを廃止していたが、「今の上司になって復活」した。
同僚たちも皆乗り気ではないため、全員で少し高めのチョコを一つ渡すが、ホワイトデーには一人一人に「子ども騙しな価格の」お返しが来るという。それは「ピンク、オレンジ、レモン色でふりふりでデコったブツ」で、人によりラッピングが違うが、これにも女性は怒りが収まらない。
「私はなんとピンク。流石に今年のホワイトデーは、事前に『甘いものが嫌いです。あと、ピンク不可でお願いします。ピンクを見ると虫唾が走ります。カルビーのポテトチップスかプリングルズでお願いします』と宣言しており、上司も『わかったわかった』と言っていたのにこの仕打ちだったので、直訴しました」
この行動を「たかが菓子、されど菓子です」と決意表明のように書いた女性は、上司に対し
「遠回しに辞めてくれと言われています?」
「すでにこれは嫌がらせです。返品します」
と猛抗議。さらに、
「色と人間のモチベーション理論、性別差による好む色の差も味覚の差異などない、男だってピンクが好きな人もいるし、男でも甘党は甘党だということを説明しました」
女性は大学時代に心理学を専攻し、卒論テーマは「男女の性差における嗜好の違いは実際にあるのか」だったというから筋金入りだ。その結果
「上司は、私の目がマジだったからか『辞めろってことですか』から入ったからか、『わかった。すまなかった』と謝罪しました。 しかし本質的にはわかっていないと思います」
その証拠に、来客があると「女性の誰か、お茶用意してあげてー」と、今日も上司の声が職場に響いているそうだ。