「年収400万一生独身」でも老後逃げ切れる?若者世代の貯金事情とお金の不安を解消するための処方箋まとめ
総務省が今年5月に発表した家計調査によると、1世帯あたりの平均貯蓄額は1,820万円。比較可能な2002年以降で最も高い数字となった。
ただし、59歳までの勤労者世帯に限ると、平均貯蓄額は1,299万円で、前年度よりも減少している。これに対し、高齢者世帯だけの平均値は2,385万円で、高齢者層が全体の平均値を釣り上げている実態が浮き彫りになった。
また、高齢者世帯では、無職世帯の平均貯蓄額も2,363万円に達しているため、高齢者世帯の貯蓄額には退職金が大きく影響していることが推察される。【→詳しく見る】
若年層の貯蓄は減少傾向 30代では負債が貯蓄を上回る
勤労者世帯と高齢者世帯の貯蓄額に大きな隔たりがあるのは自然なことだ。しかし残念なことに、若年層では20年前と比べて貯蓄が減少していることが、10月に発表された厚生労働白書で指摘されている。
白書のデータによれば、世帯主が30~39歳の世帯で貯蓄高の減り方が最も大きい。1994年には貯蓄額300万円以下の世帯は全体の30.3%だったが、20年後の2014年には、13.3ポイント増えて43.6%となり、半数に迫る勢いだ。
反対に負債高は年々増加しており、特に30代では、住宅や土地の購入によって負債が増えたことが影響し、貯蓄高よりも負債高が多くなっている。【→詳しく見る】
20代の平均貯蓄額は133万円と昨年比大幅増も、結婚・出産には年々慎重に
SMBCコンシューマーファイナンスが12月に発表した20代の金銭感覚についての意識調査の結果によると、20代の平均貯蓄額は133万円で、20代前半で76万円、後半で190万円だった。昨年の調査結果と比較すると、全体平均額は50万円近く増加している。
一方で、結婚・出産のために必要と考える年収についての調査では、年々慎重姿勢が増しているのが明らかだ。例えば、世帯年収が400万円あれば結婚しようと思う人の割合は、年々減少。2014年には53.6%だったが、2015年には50.3%、2016年には48.8%と下降を続け、2017年には39.8%まで下落。
大きなライフイベントに際してより大きな金銭的余裕を持っておきたいと考える20代が増えているようだ。【→詳しく見る】
「年収400万円で一生独身」は可能!フィナンシャルプランナーが教える貯蓄のコツ
金銭的な備えについて考え始めればきりがないが、フィナンシャルプランナーの黒田氏の試算によれば、昇級無しの年収400万円、独身、賃貸暮らしでも、生活を引き締めて暮らしていけば、なんとか老後を乗り切れるだけの貯金ができるという。
黒田氏は、高収入でなくとも老後の不安を解消できるだけの貯蓄をするために、「35歳までに貯蓄癖をつけること」を勧める。「けして高収入ではないと肝に銘じて生活することが重要」との氏の言葉通り、自分の身の丈を知り、支出を抑える暮らし方を身につけるのが肝心だ。
「収入が上がると支出の幅も広げてしまいたくなりますが、それではお金は貯まりません。タイトな生活スタイルを目指しましょう」というのが、黒田氏の教える貯金術だ。【→詳しく見る】
無理のない貯金で老後への不安を解消しつつ充実した暮らしを
結婚式、子どもの教育、老後、それに不慮の事故や解雇など、お金にまつわる不安の種は尽きない。けれども、将来や不測の事態への備えばかりを気にして、過度に節約を心がけるあまりに、豊かな交友関係や余暇の楽しみを犠牲にしてしまっては元も子もない。
資産と言えばお金にばかり目が向きがちになるが、友人、そして趣味や旅行等を通した経験も、豊かな老後を過ごすための立派な資産なのだ。
収入はもとより、自分の長期的なキャリア目標や、仕事以外で価値を置くものなど等を明確にし、広い視野での人生設計に沿った現実的な支出を心がけることが大切だ。そうすることで、見えない未来への不安にとりつかれることなく、ストレスの少ない充実した生活を送ることができるのではないだろうか。
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