これだけもらえる優良企業の社員

上場企業の財務諸表から待遇を探る「これだけもらえる優良企業」シリーズ。今回は、大手自動車メーカーの日産自動車を取り上げます。

日産自動車の平均年収は810万円

最新データ（2020年3月期）によると、日産自動車社員の平均年間給与は810万2672円。前期からは5万円ほど減っていますが、4期前からは15万円あまり増えています。

• 2016年3月期：795万0212円
• 2017年3月期：816万4762円
• 2018年3月期：818万4466円
• 2019年3月期：815万4953円
• 2020年3月期：810万2672円

この額には、賞与や基準外賃金（手当など）も含まれています。

企業口コミサイト「キャリコネ」に投稿された給与明細によると、32歳男性エンジニアの年収は748万円。月の住宅手当が6万円、家族手当2万円という手厚さが目を引きます。

時間外手当が月7万円ありますが、サービス残業について「会社側も防ごうとしているが、業務量が膨大で減ることがないので結果としてサービス残業になる」と書き残しています。

日産自動車といえば高額な役員報酬で話題になりましたが、2019年3月期には取締役8人に対して25億円を超える報酬が支払われています。

このとき報酬額が1億円を超えたのは、カルロス・ゴーン氏の16億5200万円、西川廣人氏の4億0400万円、中村公泰氏の1億7800万円、志賀俊之氏の1億6100万円です。

しかし、長年にわたり実際の報酬額よりも少なく見せかけた額を有価証券報告書に記載していたとして、ゴーン氏は2018年11月に逮捕され、2019年4月に日産自動車の取締役を解任されています。

なお、2020年3月期に取締役6人（退任した4人を含む）に支払われた役員報酬は7900万円にまで減っています。

日産自動車社員の平均年齢は41歳

次に、従業員数と平均年齢、平均勤続年数（ともに単体）を見てみましょう。

日産自動車社員の平均年齢は41.4歳。ざっくり言うと、40代になって800万円台をもらう人が多いということでしょうか。

• 2016年3月期：22,471人（42.8歳・20.3年）
• 2017年3月期：22,209人（42.8歳・20.2年）
• 2018年3月期：22,272人（42.5歳・19.4年）
• 2019年3月期：22,791人（41.8歳・18.4年）
• 2020年3月期：22,717人（41.4歳・17.7年）

このデータは日産自動車単体のものですが、グループ全体（連結）で見ると、2016年3月期の152,421人から、2017年3月期の137,250人へと、1万5000人あまり従業員が減っています。

これは連結子会社の自動車部品メーカー・カルソニックカンセイの株を2016年11月に米ファンドへ売却し、連結から外したため。売却益は2000億円にのぼり、同年の三菱自動車買収の穴埋めに使われたと見られています。

2016年3月期は日産自動車の業績のピークで、売上高は12兆1895億円、営業利益は7933億円でした。その後、業績は落ち込み、2020年3月期には405億円の営業赤字、6172億円の最終赤字となっています。

2021年3月期の通期業績予想も、売上高は7兆9400億円、営業損益は3400億円の赤字、最終損益は6150億円の赤字となる見込みです。

「英語で業務をこなすことは必須」

2021年3月期の販売台数169.9万台を地域別に見ると、中国が59.6万台、北米が52.2万台で、日本は20.4万台に過ぎません。

筆頭株主はフランスのルノーで、社内公用語ではないものの会議などでは英語を使用する場面が多いとのことです。

企業口コミサイト「キャリコネ」への投稿を見ると、20代の女性マーケティング担当が「外国人社員も多いので基本的には英語で業務をこなすことは必須」と答えています。

他の投稿からも、企業風土はトップダウン、セクションや社員ごとの役割責任が細分化されており、外資系企業の特質が増えてきていることがうかがえます。得意の英語を使ってグローバルな仕事をしたい人には魅力的な一流企業です。

なお、会社のキャリア採用サイトには3月26日付けで「現在、募集職種はございません」という記載があります。CASE分野の先進的なエンジニアの中途採用を積極化している競合他社とは対照的ですが、非公開求人がないかヘッドハンターに確認する価値はあるでしょう。

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