上場企業の財務諸表から待遇を探る「これだけもらえる優良企業」シリーズ。今回は、国内外でレストランチェーンを展開するサイゼリヤを取り上げます。
サイゼリヤ社員の平均年収は589万円
最新データ(2020年8月期)によると、サイゼリヤ社員の平均年間給与は589万3217円。前期と比べると38万円あまり下がっています。
- 2016年8月期:594万3391円
- 2017年8月期:625万5633円
- 2018年8月期:623万6150円
- 2019年8月期:628万0910円
- 2020年8月期:589万3217円
この額には、賞与や基準外賃金(手当など)も含まれています。
企業口コミサイト「キャリコネ」へ投稿された給与明細によると、34歳男性社員は店長クラス役職で年収428万円。ただし前年度は手当やボーナスの額が多く、年収は600万円もあったそうです。
この男性は「外食産業の地位向上と社会貢献に向けて、とても高い志を持っている」と経営陣を尊敬していますが、「35歳以降の体力の限界」を感じてやむを得ず退職したと書き残しています。
サイゼリヤの業績は右肩上がりに伸びていましたが、2020年8月期はコロナ禍の影響で、売上高は前期比19.0%減の1268億円と大幅減収、営業損益は38億円の赤字と大打撃を受けました。
2021年8月期の通期業績予想は、売上高が前期比6.4%増となるものの、営業損益は10億円の赤字。最終赤字は36億円となる見込みです。
サイゼリヤ社員の平均年齢は38歳
次に、従業員数と平均年齢、平均勤続年数(ともに単体)を見てみましょう。
サイゼリヤ社員の平均年齢は38歳1ヶ月。平均勤続年数は13年5ヶ月なので、新卒入社でそのまま継続勤務している人が多いことが推察されます。
- 2016年8月期:2,198人(34歳7ヶ月・10年5ヶ月)
- 2017年8月期:2,154人(35歳7ヶ月・11年5ヶ月)
- 2018年8月期:2,126人(36歳7ヶ月・12年2ヶ月)
- 2019年8月期:2,098人(37歳5ヶ月・12年9か月)
- 2020年8月期:2,082人(38歳1ヶ月・13年5ヶ月)
臨時雇用者を1人当たり1日8時間換算で算出すると、2020年8月期はのべ7,941人のパートタイマーやアルバイトを雇用したことになります。
このデータはサイゼリヤ本社(単体)のものです。グループ全体(連結)では2020年8月期に4,164人おり、海外法人の従業員が半数にのぼることが分かります。
サイゼリヤは豪州に食材の製造会社を有し、アジア(中国と台湾、シンガポール)で日本と同様の「サイゼリヤ」をチェーン展開しています。
2020年8月期の地域別売上高の内訳は、日本が953億円で、豪州が40億円、アジアは314億円。営業損益は、日本は56億円の赤字でしたが、豪州は2000万円の黒字、アジアは18億円の黒字をかろうじて確保しています。
マネジャー職で中途採用実施
2020年のサイゼリヤは、1月と2月は前年同月を超える好調ぶりを見せていました。しかし3月は約8割、4月は約3割、5月は約45%と大きく落ち込みました。
9月には8割近くに回復しており、客単価も前年同月を上回っていますが、会社全体の通期予想は最終赤字という厳しい見通しです。
そんな中、会社は新型コロナウイルス対策を徹底させるとともに、利益体質のさらなる改善、準社員(パート)の正規雇用化を含む人事制度の改善、新事業開発など、たゆまぬ経営改善を進めていくとのことです。
サイゼリヤの中途採用は、マネジャー総合職の「グローバル社員」と、地域密着型マネジャー(地域職)の「リージョナル社員」の2種類で募集しています。
地域職の場合、引っ越しを伴う転勤はありません。生産性向上のためにさまざまな工夫をこらすサイゼリヤで働いた経験は、さまざまな分野で応用できるのではないでしょうか。
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