上場企業の財務諸表から待遇を探る「これだけもらえる優良企業」シリーズ。今回は、人気コミュニケーションアプリを提供するLINEを取り上げます。
LINE社員の平均年収は770万円
最新データ(2019年12月期)によると、LINE社員の平均年間給与は770万円。前期と比べて55万円近く増えています。
- 2016年12月期:743万3029円
- 2017年12月期:715万7360円
- 2018年12月期:716万3223円
- 2019年12月期:770万8760円
この額には、賞与や基準外賃金(手当など)も含まれています。
企業口コミサイト「キャリコネ」へ投稿された給与明細によると、28歳男性社員の年収は620万円。基本給50万円に、インセンティブ賞与が20万円支給されています。
この男性には「完全フレックス制」が適用されており、「何時に出社しようが、何時に帰ろうが、だれも文句を言わない」ところに満足しているそうです。
LINEの2019年12月期は、売上収益が前期比9.8%増の2275億円となったものの、営業損益は390億円の赤字。最終赤字は469億円(前期も37億円の最終赤字)にまで膨らみました。
2020年12月期第3四半期は、売上収益が前年同期比8.1%増、営業利益が72億円の黒字となったものの、292億円の最終赤字に。通期業績予想の公表は行っていません。
LINE社員の平均年齢は34.5歳
次に、従業員数と平均年齢、平均勤続年数(ともに単体)を見てみましょう。
LINE社員の平均年齢は34.5歳。ざっくり言うと、30代なかばで700万円台後半をもらっている人が多いと見られます。
- 2016年12月期:1,227人(34.2歳・3.4年)
- 2017年12月期:1,460人(34.3歳・3.4年)
- 2018年12月期:1,903人(34.4歳・2.6年)
- 2019年12月期:2,457人(34.5歳・3.0年)
このデータはLINE本体(単体)のものですが、ここ3期で従業員数がちょうど2倍に増えています。
また、連結子会社のLINE PayやLINE Fukuoka、LINE FinancialやLINE証券、アジアの海外拠点などを含むグループ全体(連結)の従業員数も、ここ3期で2.16倍に増えています。
- 2016年12月期:3,661人
- 2017年12月期:5,100人
- 2018年12月期:6,488人
- 2019年12月期:7,913人
2020年12月期第3四半期のセグメント別業績について、LINE上に掲出する広告サービスをはじめとする「コア事業」は、売上収益が前年同期比7.5%増の1558億円、営業利益が同38.5%増の346億円でした。
一方、「LINE Pay」などの戦略事業は、売上収益が前年同期比12.0%増の244億円となったものの、営業利益は501億円の赤字。前年同期の524億円に続く大幅赤字となっています。
ZHDの子会社化で好待遇は維持される?
LINEは東証一部に上場していますが、ヤフーを傘下に擁するZホールディングスとの経営統合に向けた株式併合が可決され、12月29日付けで上場廃止することが発表されています。
これによりLINEは、Zホールディングスの完全子会社となり、ヤフーとは兄弟会社の関係となります。
気になるのは、LINEとヤフーとのサービスの重複です。例えばポータルサイトの「ヤフー」と「LINE NEWS」は同じメディア・広告事業ですが、ターゲットが異なるため、それぞれ並行した展開が可能と考えられます。
一方、ヤフーが力を入れる「PayPay」と「LINE Pay」はこれまで顧客を奪い合うライバル関係にあり、このまま双方で同じように多額のマーケティング投資を続けていくとは考えられません。
サービスの整理・統合が起こった場合、事業のリストラや社員の異動を伴うおそれがあり、現状の好待遇がそのまま維持されるのかも注目されるところです。もちろんシナジーの発生で収益性が向上し、待遇が改善される可能性もあります。
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