ゲーム条例の香川で「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい」と広告 メッセージに込めた思い | キャリコネニュース
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ゲーム条例の香川で「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい」と広告 メッセージに込めた思い

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ゲムトレ代表 小幡和輝さん

「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい」。こんなふうに呼びかける広告が12月20日の香川県の四国新聞に掲載され、ネット上で大反響を呼んだ。

香川県は「18歳未満はゲームの利用時間を1日60分、休日は90分まで」とする、日本初の「ネット・ゲーム規制条例」で物議を醸した県。条例は憲法違反ではないかとして裁判も起きている。

そんな中で、この広告。しかも載せた先が「県内シェア6割」の四国新聞ということで、大きな波紋が起きたのである。

この挑発的なメッセージに込めた思いとは? 広告を出した株式会社ゲムトレの代表・小幡和輝さんに直接、話を聞いた。(取材・文:箕輪 健伸)

条例には、怒りよりも「寂しさ」を感じた

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四国新聞に掲載された広告

「この広告企画は、まず四国新聞への掲載ありきで進めたものです。”勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい”という強烈なメッセージは、ゲーム規制条例が全国で唯一施行されている香川県民に見てもらわなければ意味がないと考えたんですね。実際に、東京メトロ・新宿駅にも広告を出していますが、反応は圧倒的に四国新聞に掲載したものの方が大きいです」

小幡さんは、こう語り始めた。

「多くの方がこの条例はおかしいと思っていたのでしょうね。この広告は、そうした方々の気持ちの受け皿になった側面が大きいと思います」

香川県のゲーム規制条例について、さぞや強い怒りがあるのかと思いきや、そうではないと小幡さんは語る。

「怒りというよりは寂しさの方が強かったですね。まだゲームをこれだけ目の敵にする人がいて、こんな条例案が通ってしまうのかといった寂しさや虚しさを感じました」

不登校を経験「ゲームに救われた」

小幡さんは、小学2年生のとき学校に行けなくなり、10年にわたって不登校を続けた。この時に救いとなったのがゲームだった。

「ゲームをやることで、自分自身の気がまぎれましたし、大会で良い成績を収められたときは大きな達成感も覚えました。ゲームを通じて多くの仲間ができましたし、居場所ができたんですね」

「これはゲームがあったからこそです。あの時、ゲームに救われていなかったらどうなっていたことか。学校に行けないことに過度に負い目を感じて、今のように前向きに生きることは難しかったでしょうね」

Esportsの時代

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ゲムトレ、サイトキャプチャ

そんな経験を経て、立ち上げたのがゲームのオンライン家庭教師サービス「ゲムトレ」だ。小幡さんは、その運営会社で代表を務めている。

「ゲームの家庭教師?」と首を傾げる方もいるかもしれないが、今はゲームの勝敗を争う「Esports」が競技として定着し、賞金数億円レベルの世界大会も開かれる時代。「Esports部」が囲碁部や将棋部、サッカー部などと並んで学校の部活動に加わるようになっている。

そう、ゲームも「習う」対象となりつつあるのだ。子どもたちは、各地大会での入賞実績があるゲームトレーナーたちから、ゲームの操作や勝利を掴むための考え方、トレーニングなどを教えてもらうという。

「ゲムトレ」のサービス開始から約2年だが、平均継続率は約1年。親たちからも「ゲームを通して考える力がついたのか成績が伸びた」「深く思考ができるようになった」「物事を論理的に考えられるようになった」といった、好意的な声が寄せられているという。

ソニー生命保険の「中高生が思い描く将来についての意識調査」(2021年)によると、男子中学生の将来なりたい職業の第2位はプロゲーマーだった。人気のあるゲームで世界トップレベルの選手になれば、年俸「1億円超え」はゴロゴロいる。かつての「プロスポーツ選手」のような存在に、プロゲーマーはすでになっているのだ。

ゲームは「一つの生き方」でもある。

小幡さんは「『ゲムトレ』の受講生の中にも、ゲームによって居場所を作れている子どもやゲームで自信をつけていった子どもは少なくありません」と力を込める。

だからこそ、ゲームを目の敵にするのではなく、一つの生き方として認めてほしい。広告にはそんな思いを込めたのだと、小幡さんは語っていた。

「私は香川県民ではありませんので、この条例に反対したり攻撃したりといった資格はありません。我々ができることは、今回のようなメッセージ広告を出して、議論のきっかけを作ることしかないと思っています」

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