ひぃいいい~! プリンタの中から聞こえる「その声」の主は?
本日の最高気温は32度。暑いという理由だけで納涼企画記事を上げている本連載ですが、この記事はクーラーのある部屋にこもって書いています。しかしPCサポーターの仕事は、必ずしも涼しい部屋で作業できるとは限りません。
天井裏や床下に潜ることもありますし、お客様の都合でエアコンが使えない環境でシステムを動かしていることもあります。当然私の嫌いな虫たちがうじゃうじゃいる環境で作業しないといけないこともあるわけで、それを想像するだけで私は鳥肌が立つのです。
そんなことを考えていたら、ものすごく印象深い話を思い出したので、今回はそんな昔話をしたいと思います。新卒で入社したての頃なので、もう10ウン年前の話です。
目を凝らして奥を覗いても、中には見えず
その頃はまだパソコンというものは高価なものでして、とても「1人1台」の環境にはなっていません。各職場には、事務処理用の「オフコン(オフィスコンピュータ)」と呼ばれるものが数台置かれているだけでした。
モニターは16色表示が限界で、大抵黒い背景に白か緑の文字が表示されているという時代です。業務用プリンタはプリンタ自身がフォントデータを持っており、カートリッジや基板を入れ替えることで、例えば丸ゴシック体に変更して出力できる仕組みでした。
この日の仕事は、その「プリンタのフォント」を入れ替える仕事でした。このプリンタはフォントデータを幾つか持つことができるものでしたが、サイズは今のラックサーバ並みの大きさで、機械を開けて基板を挿す必要があったのです。
同じ会社で別の作業があったため、先輩に同行して行ったのですが、電源を切り、コンセントも抜いたプリンタを開けると、何やら音がするのです。よーく聞くと、
「ちゅう、ちゅうちゅうちゅう……」
聞き覚えがあるといいますが、とってもネズミっぽい鳴き声に聞こえます。しかし目を凝らして奥を覗いても、何かがいるようには見えません。
まだ駆け出しサポーターだった私は、別作業をしている先輩を呼んで診てもらうことにしました。何かあってからでは大変。なにせ、そのプリンターは3桁万円する高価なものでしたので。
基盤を差し込むと「ちゅう……」と一鳴き
先輩は懐中電灯を取り出し、しばらく中の様子をあちこち観察していましたが、
「気のせいだ。作業を続けろ」
「でも…」
「いいから」
というわけで、先輩の指示の下、プリンタにフォント基板を差し込みました。ガイドレールに沿って基板が奥へと進みます。その間もちゅうちゅうという声が聞こえます。そして、一番奥に差し込んだとき。
「ちゅう……」
ひと鳴きして、それからその音は聞こえなくなりました。その後、動作確認をしましたが、正常に動作することを確認し、作業は終了となったのです。
それから、そのプリンタから異音がすることはありませんでした。定期検査の時に内部もチェックしておりましたが、特に何も異常はありませんでした。
数年後にその会社を辞めたため、今そのプリンタがどうなっているかさっぱり分かりません。そして、あの「ちゅう……」という異音がなんだったのか、永久にわからないままになっております……(ろうそくを消しました)。
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