いくら仕事中でも、気軽にトイレに立つこともできない職場では働きづらい。東京都の60代の女性は昨年夏、「テレビでも有名な通販会社」のコールセンターで派遣スタッフとして働き始めたものの、わずか1日で退職した。理由はトイレに関するやっかいなルールだ。
「トイレに行く際は断りを入れ、戻る時には呼び出してドアを開けてもらい、所属とフルネームを言う」
女性が「あんな不快な思いをしたのは初めてです」と語る職場は一体どんなところだったのか。編集部では女性に取材を申し込み、詳しく話を聞いた。
「『名前は!』『所属は!』『どこの派遣!』という感じでした」
そのコールセンターはセキュリティが厳しく、入退室の管理も徹底していた。
「部屋から出る時は自分で開けられますが、入るにはカードが必要でした。直接雇用の方はカードが支給されていました」
そのため派遣社員である女性は、ドアの前にある電話で開けるようお願いしなければならなかった。
「しかも開けてくれる人が、人によるんですけどメチャ高圧的でけんか腰に言う人がいて一日居てイヤになりました」
「その日は4回くらいトイレに立ちましたが軍隊調の言い方をする人もいました(笑) 『名前は!』『所属は!』『どこの派遣!』という感じでした」
きちんと働いているのに、トイレに行くたび晒しものにされ嫌がらせのように圧力をかけられるのだからたまらない。案の定すぐに辞める人は多かったようで
「その日8人くらいが働き始めましたが、私を含め3人が1日で辞退したそうです。派遣会社の担当者は、トイレのルールについて抗議すると言ってましたけど、その後のことはわかりません」
と振り返った。その日のうちに見切りをつけたことについて、
「トイレってコントロールできるものではないのに、あんな不快な思いをしたのは初めてです。辞めて良かったです」
と清々したように語ってくれた。
セキュリティカードキーを使っている会社では、派遣スタッフにもカードキーを貸与しているところが多そうだが、このコールセンターはそうした手間をかけたくなかったのだろうか。いずれにせよ、トイレすら気持ちよく使わせてくれない職場には、人材は定着しないのではないだろうか。
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【即行退職シリーズ】