自殺するぐらいなら学校なんか行かなくていい! 不登校児の拠り所、フリースクールに公的支援を目指す動きも

いじめ問題がなかなか表面化しにくいのが、現代の学校教育現場の欠点だ。いじめによって自殺してしまった子どもが出ても、教育現場は「そのような事実はありませんでした」と、まず否定から入るのがほとんどの地域の実情である。

このご時世、嘘を言ったって隠し通せるわけでもないのに、一部のケースを除き、学校と教育委員会どちらもが、まずこうした対応をしてみせる。そこに、実際にいじめによって苦しみぬいた子どもの心情を理解しようとする意思は、微塵も感じ取れない。

9月24日放送の情報番組「モーニングバード」(テレビ朝日系)で、「そもそもいじめで命を失わないためには」という特集が組まれた。都内のフリースクール「東京シューレ」を取材したVTRを観たんだけど、一言で言えば絶句した。(文:松本ミゾレ)

悲惨ないじめが続いて不登校に、自殺を考えたことも

学校が辛いなら行かなくたっていい

学校が辛いなら行かなくたっていい

このVTRでは、様々な理由でフリースクールに集まった子どもたちが、自分たちの体験してきたことについて語っている。やはりいじめが原因でフリースクールに来る子が多いようだ。

中学校1年生の途中から不登校になった15歳の女の子は、友達がいじめられそうになっているのを目の当たりにして、学校に行くことが不安になってしまったという。

中学校2年生の頃から不登校を続ける18歳の男子は、自分が所属していたバスケ部でいじめに遭ったのがきっかけで、学校に行くのが嫌になったと話した。昨年12月にフィリピンから日本にやってきたという11歳の男児は、文化の違いや偏見のせいで無視され、フリースクールに通うようになった。

痛烈なのが、ある15歳の少年の話だ。最初はクラスメイトから悪口を言われる程度だったというんだけど、段々とエスカレートしていき、帰宅途中につけられて石を投げつけられるようになる。さらには自宅までついてきて、部屋に戻ったこの少年に対して、外から罵声を浴びせてきたというのだ。

彼にとって学校が地獄なら、家族と暮らす自宅は唯一のオアシスのようなものだっただろう。そんなオアシスにまで悪意を持ったいじめの主犯が訪れるのだから、まさに鬼畜の所業である。あまりに辛く、自殺を考えたこともあったという。

いつの時代もいじめはあるものだけど、VTRを通して様々な声を見聞きすると、なんとも気持ちが沈んでしまう。

不登校期間があっても立派な社会人になることはできる

「東京シューレ」の奥地圭子理事長は、取材に対してこう話している。

「子どもたちの意識の中に『学校に行くしかない、行くべきだ』という認識がある。回りのの大人もそう思って対応する。苦しいのに逃げることができない。そこで楽になるには一切を精算するということになり、自殺が近くなる」

まさにその通りだ。けれど学校に行かなかったからと言って、人生が破滅するわけでもなんでもない。奥地理事長は、実際にフリースクールを出た後に、しっかりと社会に適応した者たちのことを挙げてみせた。

新聞記者になったり、起業したり、国連職員になったり、保育士になった子もいる。義務教育の現場に毎日通うことがなかったとしても、そこはそれ。その後の本人の努力次第で、どうにでもなる。奥地理事長は言う。

「不登校だったから色々なことができないというのは、社会の偏見です」

「学校復帰」がプレッシャーになり自己否定へと繋がる

さて、全国には「東京シューレ」のようなフリースクールが、474ヶ所あるという。そしてフリースクールでの教育は義務教育として認められていない。だから当然、入会金と授業料が発生する。

入会金の平均は5万3000円。毎月の授業料は3万3000円前後となっているという。ところがこれでは、いじめに苦しみ、逃げ場所を求めている子どもを抱える家庭が、経済的な理由でフリースクールに通わせることもできないという場合に手詰まりになってしまう。

そんな状況を一変するには、フリースクールも義務教育として認めて援助するようになるのが一番良い。

実はこうした「特例」を議員立法という形で提唱している人物がいる。自民党の馳浩衆院議員その人だ。今までは憲法と教育基本法や学校教育法に基づいて、義務教育は学校制度において行うのが前提となっており、不登校になっても「学校復帰」が原則だった。しかし馳議員は、不登校の子どもにとってはこの原則がプレッシャーになっていると指摘する。

「(プレッシャーから)さらに自己否定に繋がって、自分が生きていてもしようがないんだと、行き場がない、居場所がない、ということで自殺に至ってしまうケースはままあります」

そこで、本人や保護者の意思、学校や教育委員会の努力を踏まえた上で、特例としてフリースクールを義務教育として認める法案を秋の臨時国会に提出する予定だという。

その努力が実れば、全国のフリースクールが支援を受けることで、よりローコストで運営できるようになり、間口が広がる。全国に12万人いると言われる不登校児童の受け皿となる、新たなフリースクールだって増えるはずだ。

いつまでも何十年も前の法に縛られるような時代ではない。時代に合わせて少しずつ変化をしていくのが、法律というものではないだろうか。

現に今、学校でのいじめに苦しみ抜いている子供が存在している。そして今後もそういう子供は発生し続ける。馳議員に賛同する声が市井からも積極的に上がるようになれば、大きな後押しになるに違いない

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