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就活解禁日の変更は無意味だ! 「大卒者を大企業に送り込むシステム」は崩壊しつつある

経団連が2017年卒の選考活動の解禁時期を2か月前倒しし、6月からとする姿勢を表明したことが話題になっています。しかし協定通りに採用する企業とそうではない企業が混在する限り、何の解決にもなりません。

大卒者がベルトコンベアーのようなものに載せられて、大企業に送り込まれる時代が終わりつつあります。大事なのは個々の学生が学業とともに、社会に出る準備を卒業までに十分できるようにすること。企業との接点を制限することは、もはや学生にとってマイナスの意味しかないでしょう。(文:河合浩司)

行政をかませて「ハロワで確認印」までやるのか

画一的な採用の崩壊

画一的な採用の崩壊

そもそも、企業と学生の出会いの時期を完全に規制することは可能なのでしょうか? 念のため検証しておくと、例えば高卒者の新卒採用はスケジュールが厳格に規制されています。都道府県によって異なりますが、おおむね毎年9月中旬からの選考開始が慣習として続けられています。

この採用日程は、経済団体や高等学校、教育委員会などの教育機関、労働局などの行政機関で構成される「高等学校就職問題検討会議」の申し合わせで決まっています。大卒の「倫理憲章」と同じく紳士協定ですが、今は高校生自身が自力で就職先を探すように働きかけるところがないので、慣習が続けられているに過ぎません。

手続き上も、高卒の新卒者を採用しようとする時には、まずはハローワークから求人票に「確認印」をもらう必要があります。学校へ提出する求人票に、ハローワークからの印がないと提出ができません。

そしてハローワークは、求人票を受理する時期を6月20日と指定しています。その後、7月1日以降に押印された求人票が順次企業に戻ってくるのですが、これを待たないことには高校が受け付けてくれませんから、抜け駆けのしようがないのです。

高校生ですら勝手に進路を見つける時代に

大卒の解禁時期を厳格に守らせるとすれば、単純にこれと同じような方式を取ればいいということになります。しかし高卒の場合は「未成年者や年少者の保護」という建前がありますが、大卒に適用するのは現実的ではありません。

そもそも高卒の新卒者の状況でさえ、今後は大きく変わる可能性が濃厚です。今はインターネットのおかげで、誰でも簡単に情報を得ることができます。今の高校生はネットネイティブ世代ですから、私たちよりもはるかに高い情報検索能力を有しています。

彼らが「なんだ、自分で調べれば、就職先なんて見つけられるじゃないか!」と気づいてしまえば、上記の規制も形骸化していくでしょう。高校生ですら勝手に進路を見つける時代に、なぜ大学生が制限を受けなければならないのでしょう。

自分にとって良い進路を見極められる力を

大学生の就活では、すでに自力で就職先を探す環境が揃っています。大手ナビサイトにはエントリー解禁日がありますが、それ以外にもネットによる情報収集方法はいくつもあるし、社内の勉強会への参加者を公募している企業やイベントに学生の参加を促すものも多数存在しています。

世の中には大企業に就職する以外にも、社会に出るさまざまな選択肢があり、学生が自分にとって良い進路を自由に見極められる力を身に着けられる教育をめざした方が有益と思えてなりません。そのためには十分な時間が必要なのに、逆に出会いの機会を制限して、企業と学生に「勝手に出会ったらダメ!」というのは、あまりに無理があるというもの。

広報開始も選考開始も、各社で決めればいいこと。経団連が一律に決める必要はありません。大企業の都合で作り上げた画一的な人材採用の大きなシステムは、いま崩壊に差し掛かっているのです。

あわせてよみたい:学生を遊ばせている「名ばかり大学」は社会的に不要

 

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