大切な人を亡くして心の余裕がないときに、葬儀社からずさんな対応をされたら怒りを覚えるのは当然だ。埼玉県に住む30代後半の女性は、11年前の父親の葬儀で涙が止まらなくなるほど悔しい思いをしたという。
振り返ると、葬儀社の対応には最初から違和感があった。長女の女性は人見知りの母親に代わり、当時27歳で喪主代理として家族代表の取りまとめ役を務めたが、葬儀社の担当者が「ほぼタメ口のような崩した敬語」で話してくるので、「相手が女子どもだから?」と少し気になってはいたという。
「深く気に留める余裕もなく準備が進む中、まず1つ目のありえない出来事が」
と語る女性。葬儀社のありえない不手際は、葬儀の準備段階から始まった。(文:福岡ちはや)
棺の色が指定と違う「『緑じゃない!』と声に出していました」
女性は三姉妹で父を思い、薄い緑色の棺を選んだが、なぜか実際に用意されたのは白い棺だったという。
「納棺するときは父の身体を見ることでいっぱいいっぱいで気付かず、納棺後ふと棺に目をやって思わず『緑じゃない!』と声に出していました。その後、父を一旦棺から運び出し、注文していた緑の棺を用意していただき再度納棺いたしました」
親族からは「もう納棺しちゃったんだしいいじゃない」という声もあったというが、「三姉妹で父のことを想っていろいろ決めた気持ちを無駄にしたくなく」父に申し訳ない気持ちもありつつ納棺をし直したという。遺族としては当然の心情だろう。
さらにその後なんとか始まった葬儀で、2つ目のあり得ない出来事が起きた。
「司会役も務めていた担当の方が、父の命日を言い間違えたのです。それまで悲しく涙を流していましたが、違う日にちを言われた瞬間は涙も止まり、思わず司会の方に振り向いてしまいました」
しかし、葬儀中だったこともあり間違いを訴えることもできず「そのまま進んでいきました」と無念を語った。
親族との会食中、担当者がやって来て小声で「食事が足りません」
親族との会食が始まってからも、葬儀社の不手際は続いた。担当者が女性のところにやって来て、小声で「食事が足りません」と言うのだ。しかし、当日参列者が増えたわけでもなく、数が合わないのはあり得なかった。
「葬儀社のほうで注文する個数を間違えていたとのことでした。度重なる無礼さに思わず握りしめる拳も震え、少しキツめに『○個って伝えていましたよね!?』と返してしまいましたが、相手はただただ平謝り。もう本当にありえないと思いながらも、親族もたくさん集まってくれている中で、また父の前で問題を起こすようなことはできず、葬儀も火葬も終わるまでグッと我慢しました」
すべてが終わったあと、家族で一連の対応を振り返り、改めて「やっぱりおかしいよね。ありえないよね」という話になったため葬儀社に抗議の電話を入れたという。すると
「社長とその問題の担当者が大きな花瓶に入ったお花と共に自宅にやってきて、土下座されました。こちらは土下座などはもちろん望んでおらず、ただただ悔しくて涙が止まりませんでした」
女性は「大好きな父を最後くらい悔いなく送ってあげたかったのに」と悔しさを滲ませ、
「あのときは急だったこととまた若かったこともあり、事前のリサーチなどもできず『家から近いから』という理由で葬儀社を決めてしまった。口コミなどを見て決めることが大事だなと思いました」
と教訓を語った。事後の土下座など、遺族にとっては何の慰めにもならない。この葬儀社は不手際の防止策と、遺族に寄り添う丁寧な対応を徹底するべきだろう。
※キャリコネニュースでは「葬式の仰天エピソード」をテーマに投稿を募集中です。回答はこちらから https://questant.jp/q/GNIJZNU6
不倫サーフィン旅行先で夫が急死 妻「涙1滴も出ないお葬式を子どものためにあげました」