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会議で何も発言しない部下は本当にやる気がないのか? 発言を引き出すファシリテーションの基本

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管理職向け研修を担当していると、受講生の皆さんから「会議をしても若手が発言しない」といった悩みをいただく事があります。

せっかく会議をするなら、活発な議論があったほうが組織の生産性も向上していくかと思います。今回は、会議の主催者が意識するべき、ファシリテーションの技術についてご紹介してまいります。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)

会議で発言しない参加者の心の中とは?

一見すると、黙っている部下は「やる気がない」「当事者意識が欠如している」ように思えるかもしれませんが、その背後には以下のような葛藤やブレーキが隠れています。

■頭の中の整理がついていない

質問の抽象度が高かったり、会議の議論がスピーディーに展開しすぎたりすると、内向的なタイプや慎重なタイプの部下は「自分の考えをまとめる時間」が足りず、発言のタイミングを逃していきます。

■「間違ったことを言ったらどうしよう」という不安

組織に存在する心理的ハードルが、最近注目されている「心理的安全性」の不足です。「変な発言をして笑われたくない」「上司に否定されたらどうしよう」という失敗への恐れが、口を閉ざす要因になっています。

■「どうせ発言しても何も変わらない」というあきらめ

過去に意見を言った際に、頭ごなしに否定されたり、結局上司の意向だけで物事が決まったりした経験があると、部下は学習性無力感に陥ります。「発言するだけ時間と労力の無駄だ」「どうせ上司の意見で決まるんだ」と感じてしまいます。

つまり、部下が発言しないのは「やる気がないから」ではなく、「発言しやすい環境や構造が整っていないから」であるケースがほとんどです。だからこそ、進行役である上司の会議の進め方が重要になります。

生産性の高い会議を運営するファシリテーション6つのステップ

部下の発言を引き出し、実りある議論を生み出すために有効なのが、私がお伝えする「ファシリテーション6つのステップ」です。順を追って会議を設計・進行することで、場の空気と議論の質が劇的に変わっていきます。

ステップ1:事前に会議の目的と目標を明確にする

会議の失敗の多くは「準備不足」から始まります。事前準備の段階で、会議の「目的」と「目標/ゴール」を明確にしておきましょう。

目的:なぜこの会議を行うのか(例:新商品の販促案を検討するため)

目標/ゴール:会議が終わった時にどのような状態になっていれば成功か(例:具体的な施策アイデアが3つ選定されていること)

これらを事前にアジェンダとして共有しておくことで、部下は「何を考えておけばいいのか」を準備して会議に臨むことができます。

ステップ2:発言しやすい場の醸成

会議が始まってすぐに議題に入るのではなく、本題前に「チェックイン(ウォーミングアップ)」の時間を1〜2分設けます。

簡単な自己紹介や「最近気になっていること」「今の気分の点数(10点満点中何点か)」などを一人ひとり発言してもらいます。会議の冒頭で「一度でも声を出す」という体験をすることで緊張がほぐれ、その後の本番でも発言しやすくなる効果があります。

発言に対しては、否定せず「なるほど」と受け止める姿勢を見せ、心理的安全性を醸成しましょう。

ステップ3:会議の目的とゴール、ゴールまでの流れを周知する

チェックインが終わったら、改めて全員で「本日の会議の目的」「目指すべきゴール」「全体のタイムスケジュール」を共有します。

「今日は〇〇について話し合い、最終的に××を決定します。時間は55分です」と明確に示すことで、参加者全員の目線が一致し、当事者意識が高まります。全体の流れが見えていると、部下も「今どのフェーズにいるのか」を理解できるため、意見を出しやすくなります。

ステップ4:意見を発散させる

ここから本格的な議論に入りますが、最初から「良い案を出そう」とすると意見は出なくなります。このフェーズでは「質より量」を意識し、以下のようなグランドルールを設定しながらアイデアを幅広く「発散」させます。

・アイデアの批判/否定は禁止する

・突飛な意見や未完成な考えも歓迎する

・他者の意見に相乗りすることもOK

口頭で発言させるスタイルはハードルが高いため、まずは「各自、手元の付箋に自身の意見を複数枚書く」などの個人ワークを挟むのが効果的です。

ステップ5:発散した意見を集約する

十分に意見が出尽くしたら、次は出された意見を以下のような手法で整理をし、「集約」するフェーズに移行します。

親和図:似たような意見をグループ化する

ペイオフマトリクス:「実現可能性」と「効果の高さ」などの2軸で整理する

発散と集約をしっかりと区別することが重要です。「発散」の最中に「集約」を行ってしまうと議論が萎縮するため、必ずフェーズを分けて進めましょう。

ステップ6:意思決定を行う

最後のステップは、集約された意見をもとに「意思決定」を下すことです。決定基準(コストやスピード等)を明確にし、全員の合意形成を図ることが理想ですが、リーダーが責任を持って決断することが大切です。また、「誰が・いつまでに・何をやるか(5W1H)」のアクションプランに落とし込むことを忘れてはなりません。会議の最後に「今日決まったこと」と「次回のタスク」を確認することで、参加者に「自分たちの発言が形になった」という達成感と当事者意識が生まれます。

会議で何も発言しない部下に対して、「やる気がない」と決めつけてしまうのは間違いです。彼らが発言しない裏には、安心感の不足や、会議の組み立て自体の不備が隠れています。本日お伝えした6つのステップを意識して会議を展開すれば、部下は「自分の意見が尊重されている」と感じ、自然と発言が増えていきます。チーム全員の知恵を結集し、一人ひとりが生き生きと働ける組織づくりに向けて、まずは次回の会議の進め方から見直してみてはいかがでしょうか。

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