ゴミと戦い、きれいな部屋を守る 「清掃さん」はホテルの大事な裏方
汚いホテルに宿泊したい人なんて、いませんよね? ビジネスホテルでも清掃にはかなり気を遣っています。シティホテルでは専用部署の社員が清掃を行っているところもあるそうですが、ビジネスホテルは別会社に清掃業務を委託しているところがほとんどです。
ただし、清掃さんが帰ってしまった後に不備が見つかった場合などには、ホテルの社員であるフロントスタッフが対応しなくてはいけません。そのため、もしもの時のために清掃のやり方は心得ています。(文:ユズモト)
フロントは「事後チェック」で監視
とはいえ、実際にそのスキルを発揮する機会は、あっても年に1回くらい。たまにやるときには内心「これで大丈夫かな」と不安に感じることもあります。しかもフロントが清掃をするのは、たいていお客様から不備を指摘された時なので、ドキドキもひとしおです。
それでは、普段フロントは清掃に関わっていないのかというと、そうではありません。清掃さんから作業が終わったと報告を受けると、部屋がちゃんとキレイになっているかどうか毎日確認をしているのです。
シンクの水が流れるところに髪の毛が詰まってないか、窓際の溝にもほこりが残ってないかなど、かなり細かいところまでチェックをします。その際、清掃さんには常に隣に立ってもらい、なにかあれば随時指摘するのですが、私はこれがとても苦手でした。
限られた時間で清掃をしているのだから、少しくらいホコリが残ってしまうこともあるだろうとは思っています。でも、キチンと指摘しないと、汚れが見つかったときにはお客様や上司から私が叱られるし、指摘しないと次もまた繰り返してしまう可能性があるし…。
ということで、いつも心のなかで「すみません、すみません」と謝りまくりながら指摘していたのでした。そんな風にネチネチ言われながらも、部屋を毎日きれいにしてくれる清掃さんには、本当に頭が上がりません。
忘れ物探しで気づいた「清掃さんの大変さ」
それともう一つ、清掃さんってすごいなと思ったことがあります。ある時、チェックアウトされたお客様が「大切な書類を忘れた」と電話をかけて来られました。
ですが、事務所に置いてある忘れ物の中には、それらしきものはありません。しかし、お客様が「絶対ホテルにある!」と仰るので、その日に出たゴミを全部チェックすることになったのです。
私は、長いゴム手袋をはめ、マスクもして、ごみ捨て場のごみ袋を一個一個探っていきました。すると、出るわ出るわ、触りたくない物の数々!
食べ残しのあるコンビニ弁当、スープの残ったカップラーメン、使用済みコンドーム、血のついたティッシュ、生理用ナプキンなどなど…。清掃さんは毎日こんなえげつないゴミと戦っているのか、と改めて思ったのです。
ちなみに、ゴミ捨て場をあさっても目的の書類は見つからず、お客様に「見つかりませんでした」と電話をしたところ、「僕が持っていた! ごめんね」と言われ、何ともいえない虚無感に見舞われたのでした。
このように清掃さんは、お客様と直接関わることはあまりありませんが、ホテルにとって、とても重要な存在なのです。
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