築45年、耐震工事必須の木造一戸建てに住める? 取り壊したいという夫に妻困惑
僕は一戸建てに憧れている。生まれは団地、育ちはアパート。今は祖母と猫とでマンション。これまで一度も、一戸建てで暮らした経験がない。
一戸建てってアレでしょ? 部屋が3つも4つもあって、庭もあるんでしょ? いいなぁ~。どんなにショボくてもいいから、一戸建てに住みたいなぁ~。
……などと呑気なことを言っていられるのは、そもそも一戸建ての管理についての知識が皆無だからだろう。現実には、一戸建てに住むというのは、なかなか面倒も多いようで。(文:松本ミゾレ)
妻は耐震工事をして住みたい!でも夫は「住む選択肢はない!」と平行線……
先日、発言小町に、40代女性からこんな相談が寄せられていた。「築45年の家には住めませんか?」と題されている。
地方中核都市に住んでいるというこの女性。親から蓄45年の庭付き木造一戸建てを相続した。4DKで200万円かけて耐震工事すれば住めるというが、夫からは「築45年ではどんな状況下であろうと問答無用で住む選択の余地はない」と言われたという。
ちなみに今の家族構成は40代の夫婦2人に子ども2人。世帯収入は600万円だ。貯金は300万円しかなく、遺産は「4000万未満」だとしている。
妻はこの家を耐震工事の後に、そのまま住居として使いたいと考えている。その理由は世帯収入を考慮してのもの。また、遺産も子どもの教育費と老後の蓄えに回したいという考えがあるようだ。
一方で夫は、相続した家を取り壊し、遺産を使って新築の家を建てるか、あるいは3LDKの賃貸に住み替えを考えている。家賃は、現在住んでいる住居より2、3万高くなる。この場合、相続した一戸建ては貸家、あるいは処分したいと考えているという。
「家があるのに賃貸に住むのはナンセンス」という声もあるけど
どうすべきなのかと考えようにも、そもそも実際に家の状態を見ないとどうにも雲を掴むような話に思えるところはある。
書き込まれた意見に目を通してみたところ、夫の意見に賛同する声よりかは、どちらかと言えば投稿者に賛成とするコメントが目立っていた。一部、紹介していきたい。
「耐震補強すれば、あと20年は確実に住めます」
「私の実家は築52年、増築やリフォームはしてますが単なる木造建売住宅です。まだまだ住めそうですよ。耐震工事が200万円で済むなら住み続ければいいと思いますけどね。家があるのに賃貸はナンセンスです」
住める家があるんなら、築45年だろうと住むべきとする意見は、まあ分からないでもない。 ちゃんと管理されているなら、そこまで劣化していないだろうし。ただ、繰り返しになるけど現物を見てみないと、こればかりは……。
コンクリートならまだしも木造だと建て替えが無難?
実際の状態を見ることができないこともあって、たとえ耐震工事をしたとしても住むには適さないのではないかとする意見もチラホラある。こちらも紹介していきたい。
「夫さんに同意します。45年前の家は、壁の中、天井の中、床の中の断熱材がありません。存在しても機能してない」
「集合住宅やコンクリートなら兎も角、木造でしょう。建て替えが無難です。」
「40代、土地つき一戸建て築50年を相続しました。ただし、遺産は他になし。リフォームは25年前に一度しています。でも、即解体しましたよ。絶対住めない!解体撤退&新築費用数千万は、半分ローンです」
こちらの意見も、割と真剣に、現実的なリスクをどこまで削減できるかに軸をおいてアドバイスをしているように感じられた。
なんにせよ、高いお金がかかる際の決断というのは、思い切りの良いものにしておくべきだ。
「こうすればまだ安く済む」というちょっとした油断が、後々になって「ああしていれば良かったなぁ」という後悔を呼び寄せるのが常。
200万で耐震工事をすればひとまず安心と言っても、投稿者はまだ40代。今、築45年の家に住む選択をして、老後のために遺産を温存すると言っても、その老後を迎える頃には、家はますますガタついてそうな気がする。そういう懸念があるからこそ、恐らく旦那さんは立替えないし転居を考えているんだろう。
モノは必ず劣化する。たとえどんなに手入れをしていても、一般的な家屋。それも半世紀近く前に建造されたものなんだし、「耐震工事もしたから安心」とは考えない方が妥当に感じられるなぁ。
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