メディアへの女性進出が進む米国 編集トップ3に「女性が1人以上」の新聞社は63%
男女雇用機会均等法が施行されて40年以上が経ちましたが、日本社会の男女格差は依然として大きいようです。世界経済フォーラムが発表した「男女格差ランキング」によると、世界142カ国のうち日本は104位で、G7の中で最下位という結果でした。
一方、男女平等が進み、女性の職場進出が進んでいる米国は20位。ピューリサーチセンターの記事によると、2013年に米国の新聞社を対象に調査したところ、63%が「編集室のトップ3役には女性が必ず1人はいる」と答えたそうです。
これは米国新聞編集者協会(ASNE)の2013年度のデータを用いて明らかにしたもの。編集室のトップ3役に女性が2人いると答えた新聞社は12%で、トップ3役すべてが女性だと答えたところも2%あったといいます。(文:沢水 蛍)
新聞記者・編集者に占める女性の割合は37.2%
ただし、女性のリーダーシップをさらに推進しようとしているASNEにとっては、もどかしい現状もあるようです。2012年度に新聞記者・編集者全体に占める女性の割合は36.7%だったのに対して、2013年度は37.2%へ上昇しているものの、わずか0.5%。役職付の女性の割合においても、1年で0.7%とわずかな上昇にとどまっています。
また、米国で最も有名な女性ジャーナリストでニューヨークタイムズの編集主幹を務めていたジル・アブラムソン氏が、「編集局の運営の問題」を理由にその職を解かれました。彼女の後任にはアフリカ系アメリカ人で初の編集主幹となるディーン・バケット氏が就任。もっとも、これは必ずしも女性差別というわけではないようです。
インディアナ大学が2013年秋に、米ジャーナリスト1,080人を対象にオンライン上でインタビューを行った結果、女性は男性よりもおよそ5000ドル以上も年収が少ないということが分かったそうです。女性の平均年収は約48,037ドル(約525.5万円)、男性は約42,857ドル(約468.9万円)で、56万円以上の差があります。
日本経済新聞の取締役には女性ゼロ
それでも、米国の現状は日本と比べれば、はるかに男女平等が進んでいるといえるでしょう。内閣府男女共同参画局が2011年に作成した「諸外国における専門職への女性の参画に関する調査」というレポートは、「各種メディアにおける女性の割合」を集計しています。
これによると、新聞社の全従業員あるいは記者総数に占める女性の割合は、2010年までの10年間にいずれも10%から15%程度にまで伸びたものの、米国の37%には遠く及びません。NHKの全管理職・専門職に占める女性の割合は、2010年時点で3.8%にすぎないそうです。
ここ数年でもう少し進歩していると思いたいのですが、例えば朝日新聞は12人の取締役のうち女性が1人だけですし、日本経済新聞は全員が男性です。いかにも古い体質なのだなと考えさせられますが、その一方で上記レポートには新聞社の仕事は「仕事と生活の調和が困難」という女性の声もあり、悩ましいところです。
(出典)ASNE: Two-thirds of U.S. newspapers employ women in top editing jobs (Pew Research Center)
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