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伸び悩む若手社員、どう接する? 先輩や上司は「後輩が自分で気づくためのお膳立て」を全力ですべし

新入社員の育成で、頭を悩ます先輩社員が出てくる頃だ。入社時・配属時に感じたあの覇気はどこへやら、このまま辞めてしまわないかと案じる人もいるかもしれない。

後輩社員が会社を辞めず、充実感を持って一緒に働けるようにするためには、先輩や上司はどう接し、教育したらよいのだろうか

既卒・第二新卒に特化した人材紹介事業を運営する「UZUZ」(ウズウズ)の専務取締役兼、キャリアカウンセラーを務める川畑翔太郎さんに、新入社員を指導する際に先輩社員が注力すべきポイントを聞いた。

キーワードは「他責」 辞めそうな第二新卒世代に見られる4つの特徴

取材に答えた川畑さん(左)と、同社広報担当の御代田さん(右)

取材に答えた川畑さん(左)と、同社広報担当の御代田さん(右)

――これまで、既卒・第二新卒の転職をサポートしてきた中で、共通して見られる特徴はありますか?

川畑:ブラック企業のように会社に非があるのではなく、本人の意志で早期離職する方たちは、大きく4タイプに分類できると思っています。「くれないくれない」タイプ、「したいやりたい」タイプ、「合わない合わない」タイプ、「虚言癖」タイプです。

川畑:「くれない」タイプは、上司や先輩は教えてくれて当たり前だと思っているタイプです。自分の仕事が上手くいかないのは、社内で誰も自分をサポートしてくれないせいだと考える傾向があります。しかし、自分から積極的に質問して教えを乞う訳ではありません。 与えられるのが当然という意識があるからです。

「したいやりたい」タイプは、自分がやりたいことばかり主張し、今求められている職務を果たさない社員です。例えば、広報や人事を希望しているのに今は営業を任されている場合、モチベーションが下がり、仕事に身が入らなくなりがちなのがこのタイプです。目標を持つのは良いことですが、目の前のミッションを遂行しないのは問題です。

「合わない」タイプは、会社の方針や雰囲気に対して「合わない」が口癖になっている人。合わないと思う理由を明文化し、他人にも伝わるよう客観的に話せるのなら別ですが、「なんとなく」「感覚的に」など、ふんわりした理由で合わないと話すのがこのタイプです。

実力よりちょっと上の仕事を任された時も「合わない」と諦めてしまう傾向が見られます。実力を伸ばす努力をしたり、自分を変えようとはせず、今の自分を受け入れてくれる場所を探している人、と言い換えてもいいでしょう。ジョブホッパーになりがちなタイプでもあります。

――3つとも、自分の非を 棚に上げて、周囲や環境のせいにしている印象を受けます。

川畑:そうですね。第二新卒者で就活に苦戦している人は、退職理由を他責にしがちです。第二新卒予備軍として会社で覇気を無くしている社員にも、この傾向はあてはまるのではないでしょうか。

「虚言癖」タイプは、幼少期からの嘘をつく癖が治らなかったタイプなので、今まで説明した3つとは性質が異なります。繁忙期に仮病を使って休んだり、ミスを隠したりする人です。

ただ、このタイプはほとんどおらず、8割方が「くれない」タイプに該当します。「したい」「合わない」タイプは「くれない」タイプと併発しているケースが多いです。

後輩を伸ばしたければ「9:1で褒める」 先輩社員は「演技力」と「ポイントの掴み方」に磨きを

――挙げていただいた4タイプの社員を指導する際、先輩社員はどうしたらよいのでしょうか。

川畑:「虚言癖」タイプは本来、上司がしつけられるものではないと考えています。ただ、嘘で周りが被る迷惑は時として甚大ですから、会社として何らかの対策は必要だと思います。

上司と後輩が良好な関係を築けているのであれば、後輩が嘘をついていると分かっても、知らないふりをし、あえて責任を肩代わりするのは1つの手かもしれません。好意を持っている先輩が、自分の嘘が招いた事態で責任を取ったら「迷惑をかけてしまった」と反省すると思います

――良心の呵責を感じさせ、自ら改めるよう誘導する作戦ですね。

川畑:頭ごなしに「嘘をつくな」と言っても効果は薄いですからね。その他3タイプは、2ステップで対処すると良いと思います。まずは問題点の指摘と良い点を褒めること を5:5ぐらいで行うのが第一段階。それで矯正されてきたら、第二段階では9:1でたくさん褒めましょう。

――9:1は衝撃的な数字ですね。甘やかし過ぎではありませんか?

川畑:弊社で過去にこの方法で社員を育成してみたら、伸び悩んでいた社員が、驚くほど仕事に前向きになり、成績も向上したことがありました。若い世代は怒られ慣れていないので、「くれない」「したい」「合わない」といった特徴を本人が直し始めたら、あとは徹底的に褒めるほうが早く伸びると思います。

――どこをどう褒めるか、褒め方のテクニックも必要になってきそうです。

川畑:そうですね。褒めるのに慣れていないと、「このフォント読みやすいね!」とか、的外れなところを褒めてしまうんですよね 。先輩社員は「演技力」と「褒めるポイントの掴み方」、この2つを伸ばす必要があると思います。

「なんでこんなミスするの!?」と言いたい時にも、いかに表情に出さずに良い点を褒めるか。仕事のスピードは早くても質が低い社員がいたら、「スピードは申し分ないから次は質を伸ばそう。今の仕事の質は30点くらいだから、40点にするにはどうしたらいいと思う?」と、改善策を自分で考えさせてみてください。

最初は自分で改善案を出せなくても、こちらの提案に「そう思います」と賛同の言葉を引き出すだけでも十分です。自分の課題を認識していますから。

大事なのは、後輩社員本人が自身の考え方や言動の癖に自分で気づくことです。彼らが変われないのは、社会人として「こう考えるべき」「こうあるべき」と、頭ごなしに押し付けられ、モチベーションが下がってしまうからだと考えています。先輩や上司は、彼らが自分で気付き、考え、行動できるようにお膳立てしましょう。回り道に見えますが、若手社員を成長させる最短距離の方法だと思います。

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