サマータイム、精神科医が見ると「健康面の有益性はゼロ」「百害あって一利なし」 心筋梗塞の発生率が高まるという研究結果も
2020年に行われる東京オリンピック・パラリンピックの猛暑対策として導入が検討されている「サマータイム」。8月14日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)でも、導入の是非を取り上げた。
番組では、精神科医で早稲田大准教授の西多昌規氏が出演。「学会含めて専門家の評価は極めて低い、というかほぼ反対。百害あって一利なしだと思います」と話していた。
「サマータイムで不眠になるとうつ病になりやすい」「心と体を蝕む」
西多氏は「欧米がやっているから取り入れようというのはまさに周回遅れの政策」だと批判する。
OECDの調査によると日本の睡眠時間は28か国中27位(平均7時間43分)。1位の南アフリカより1時間半短い。人間の睡眠時間は夏に短くなる傾向があるため、さらに睡眠不足が加速し、睡眠不足が加速する可能性があるという。
睡眠不足になると、一時的に情報を記録する、前頭葉の「ワーキングメモリー」が低下するため、仕事や家事に悪影響が出る。西多氏は「サマータイムで不眠になるとうつ病になりやすい」「心と体を蝕む」として、導入の「有益性はゼロ」だと主張した。
サマータイムを導入しているスウェーデンでは、サマータイム開始から1週間で、心筋梗塞発生率が平均5%高まるという調査結果が出ている。ロシアでもサマータイム開始時、心筋梗塞増加で救急車の出動が増加したという。睡眠時間が減り、心臓の血管が悪影響を受けたためだと見られる。2011年には、30年以上続いたサマータイムを中止している。
他にも記憶力・判断力・思考力が衰え、高齢者の認知症リスクや、睡眠不足により食欲のスイッチが入ることから肥満リスクの増加も懸念される。感情を抑える「前頭前野」と感情を出す「扁桃体」のつながりが切れ、キレたりイライラしたりしやすくなる可能性もあるという。
「若者、学生にとっては驚異的な政策」不登校の増加も懸念
体内時計の乱れが起こることも指摘されており、不登校の児童の約40%が体内時計の乱れが原因で学校に行けないことからサマータイム導入で不登校の増加も危惧される。西多氏は、
「夏休み、夜型で過ごしてしまいますよね。これがサマータイムだと9月1日と、いつもより2時間早く登校しなきゃいけない。この日はただでさえ子どもの自殺が突出して多い。若者、学生にとって脅威的な政策だと思います」
と話していた。