先の見えない不景気である。いずれ消費税は10%となり、ますます庶民は大きな買い物がしにくくなる。世間でもすっかり、金持ちより貧乏人のほうが目立つ時代となった。
今の日本では共働きで、何とか毎月をやりくりできている世帯も多いことだろう。しかし共働きと言ったって、日本では男女の賃金格差が大きい、女性のほうが賃金が少ないのが一般的なのに、実態を知らんのか「もっとお前も稼げよ」なんて発言しちゃう夫もいるようだ。(文:松本ミゾレ)
「この家事バランスなら給料低いのは夫のほう」「夫は随分と楽してるんだな」
先日、おーぷん2ちゃんねるで美しい日本語の勉強をしていたところ「夫から給料が低いと言われる」なるスレにぶち当たった。この女性、毎日のように夫から「給料低すぎる」と詰められ、ほとほと疲れ果てているようだ。
世間には「俺は外で稼ぐから、お前は家庭を守ってくれ」なんてお願いする男もいるというのに、なんとも世知辛い夫婦である。「どうしてこんなこと言われ続けなければいけないんだろ」と、かなり参っていた。
女性は21歳で子供がいるが、フルタイム正社員で働いている。30代の夫が年収400万円で、自分は300万円だという。2017年分の民間給与実態統計調査によると、20代前半女性の平均給与は243万円。育児も夫より自分のほうが時間を割いているというから、負担を考えると、よくまあ子育てしながら300万円も稼いでいる、と褒められるべきだ。これは相当な努力をしているはずだ。女性も
「21歳子持ち女が30歳と同じだけ稼げるわけないじゃないですか」
とこぼしている。
一方、パートナーの男性は30歳。20代後半男性の平均収入が393万円で、30代前半だと461万円だから、収入400万というと、まあ平均ど真ん中くらいだ。家事育児を女性にまかせておきながら平均程度の収入というのは、奥さんを偉そうに叱責できる立場なんだろうか。スレッドにも
「仕事しかしてないのに稼ぎが100万しか違わない夫は随分と楽してるんだな」
「この家事バランスなら給料低いのは夫のほう」
という声がちらほら見られた。間違っても、「もっと稼いで来い」なんて言うべきではないだろう。
収入が多いに越したことはないけど、「あいつがもっと稼いでくれれば」は禁句
今回スレッドを読む限りでは、「寄生しといて泣き言吐くな」とか、なんか痛々しくなるほどスレ主への誹謗中傷が目立つ部分もあった。罵詈雑言は2ちゃんの文化だが、いやいやこの女性は相当頑張っているほうではないか。
もちろん、実入りは多いに越したことはない。「あともう100万あればなぁ」みたいなことは、どうしたって考えてしまう。裕福でもない夫婦なんて、きっとお互いに「アイツがもっと稼いでくれれば」とは思うこともあるだろう。でも、それを言っちゃあおしまいなのよ。
貧乏って、当人たちにばかり非があって陥る境遇でもないし。時代が時代なら、もっと裕福に暮らせる見込みだってあったけど、今はそういう時代でもない。
貧乏と言うのは心を曇らせる。お金がないと精神の余裕もなくなるから、夫婦がお互いに労わりあうこともできなくなるのは分かるんだけど、やっぱり育児もしてフルタイムで働いている女性に「もっと稼げ」なんて言っちゃぁ、男がすたるのだ。