ふるさと納税制度の参加に消極的だった東京都渋谷区が今夏、大きく舵を切る。渋谷区は2月3日、7月をめどに寄付の受付を始めると発表した。同区は、必要な費用を2020年度予算案に4800万円を計上し、今月の定例区議会に提出する方針を固めている。
同制度では、任意の自治体に寄付して(返礼品をもらう)代わりに、本来は住んでいる自治体に納めるはずの住民税の一定額が控除される。渋谷区民による他自治体へのふるさと納税は年々増えており、19年度の税収減は23億円にのぼる見込みという。
「都市部でやったら本当に制度の意味ないだろ」というツッコミも
渋谷区がふるさと納税制度の参加を決めたのは、減収額が「看過できるレベルでない」(長谷部健区長)と判断したため。担当する総務課によると、返礼品競争の過熱などの制度面に不備を感じたことから、これまでは参加を見送ってきたという。
また、返礼品については、まだアイデア段階としつつも
「宿泊、ファッションの体験など渋谷区の資源を活用した返礼品を考えている」
という。今後、返礼品の基準を定めている総務省と協議しながら “コト消費”中心のプランをそろえたい、としている。
ツイッター上では「コンテンツ力あるからガチでやったらすごそう」と期待感を持つ声が一定数あった。一方で、ふるさと納税にはもともと都市部の税収を地方に流すという趣旨があるので「都市部でやったら本当に制度の意味ないだろ」というツッコミも。制度自体に対して「ホントもう酷い制度だ…」「こんな制度、やめやめ」と否定的な意見を持つ人も目立った。
東京23区のうち、同制度に参加しているのは2月4日現在、足立、板橋、大田、品川、杉並、墨田、世田谷、中野、練馬、文京、港、目黒の12区。人口密度などの観点から税収面の不利が認められる自治体であれば、地方交付税により減収額の75%は補填されるが、対象外の自治体では減収分がそのまま税収減につながる。
昨年11月には、同じく地方交付税対象外で、市税流出中の神奈川県川崎市が市民の危機感をあおる中刷り広告をJR南武線などに掲出し、ネット上などで一時話題となっていた。