大学辞めて入社したら100万円! 自称「ブラック企業社長」の言い分とは?
いま通っている大学を辞めて入社できたら、100万円がもらえる――。そんな奇妙な企画が2015年2月末にアップされ、ネット上で話題になった。
この企画は、ウェブ制作会社のセブンコード社によるもの。本当にもらえるのかと同社の採用サイトを見に行くと、タイトルは「ブラック企業へようこそ」とある。いったいどういうことなのだろうか? 濱野秀昭社長に聞いてみた。
なんと「7人」もエントリーが…
「大学を辞める」というのは、学生にとっては大きな決断だ。しかし濱野氏は、この企画で「大学は糞」「現代社会の悪徳宗教だ」と言い切る。学んだことが役に立たないのに、「みんなが行くから安心」という理由で数百万の学費を取られるからだ。
「だから大学辞めましょう。500万円と4年間で世界を旅して、思いっきり遊んだ方がはるかに成長できます」
「世の専門学校とかで学ぶような現場のスキルを覚えて、お金をもらうどころか入社したら100万円ももらえちゃうなんて、我が社セブンコードは素敵な会社だと思います」
大学中退を迫る企画に、ネット上では「極端だけど間違ってもいないかな~」「ほ、放送大学やめて行ってもいただけるのでしょうか?」と賛同する声もあれば、「大学なめんな」「大卒というカードに縛られる今の日本人に100万円は魅力無い気がした」と批判のコメントまで、数多くの意見があがっている。
キャリコネニュースが濱野氏に現在の状況を聞くと、発表して3週間でなんと7人のエントリーが来ているという。「遊び半分」の人もいるが、中には「マジメに就職の選択肢として考えてくれている」という人の応募も来ているそうだ。
こうした呼びかけをネットに打てば、批判が来ることは容易に想像ができるが、なぜこのような思い切った企画にしたのか?
「社会人になってイヤでも気がつく事実を、セブンコードは『少し早く決断しませんか?』って提案しただけです。『とりあえず大学へ』と流れで自分の人生を決めるのではなく、自分で自分の生き方を決める、という自立をするべきだと思っています」
見極めるのは「覚悟と能力」なのか
とはいえ自社の採用サイトで「ブラック企業へようこそ」と名乗るのは、なんとも自虐的な感じだ。中身も「新卒の離職率80%」「退職者の本音」と、普通の会社なら隠したいようなことが赤裸々に綴ってある。
新卒社員は、過去3年で12人採用したが、9人が辞めてしまった。しかし新たに内定を出した15年卒は、それまでよりも「とても優秀」だったとのことだ。
採用サイト「ブラック企業へようこそ」は昨年から始めており、これが奏功したのだろうか。採用サイトでは15年卒内定者から、こんな声があがっている。
「日本には『ブラック企業』と『ブラックだけど教えない企業』の2種類があります。ブラックでない企業がなく、差は『ブラックの濃さ』だけであります。ですが、別にどのブラック企業でもいい訳ではなく、わたくしが入りたいのは『セブンコード』です」
ブラック企業だと知って入社すると、ミスマッチが少なくなるということか。濱野社長も、「大学辞めてウチに100万円もらって入社しようとする『覚悟と能力』があれば起業もできると思う」と話す。
「『あんな大人になりたい』と思われるようになって」
確かに「覚悟と能力」の選別という意味では、リスキーでもこうしたメッセージを打ち出すほうがいいのかもしれない。実際、濱野社長も会社を「第2創業期」と捉え、教育制度の改善や経営方針の浸透を積極的に進めている。16年卒の就活生たちには、こんな期待をかけているそうだ。
「とりあえず、学生時代よりイキイキして『あんな大人になりたい』って思われるようになってほしいなと思っています」
「極端な話をすれば、仕事にやりがいを持って情熱を燃やしていれば、勝手にデザイン、営業、そして事業を起こすスキルが身につく。会社が倒産しても、大卒の資格がなくても、周りの人が絶対に欲しがる人材になっているということです」
ちなみに、大学を辞めれば誰でも採用!というわけではないらしいので、ご注意を。100万円を貰えるまでには、課題やインターンがあるそうだ。
あわせてよみたい:「転職する人が増える」ことの5つのメリット