税金が高すぎると憤りを感じる人が多い。キャリコネニュースは1月12日、「『日本はいつから子どもを持つことが贅沢になったのか』と怒る30代男性の声」という記事を公開した。キャリコネニュースには高所得層から子育て施策への不満が多く寄せられている。
高年収で子育てをしている人は、収入が高いほど所得税も上がる「累進課税」には理解を示している。しかし、年収に伴って保育料が上がったり、所得制限により学費の補助が受けられなかったりするため、「納税をしているのに、不公平だ」といった声を挙げている。
公開後には大きな反響があり、ガールズちゃんねるにもスレッドが立ち、2600件以上のコメントが寄せられている。(文:ジャッカル薗部)
「色んな手当てとか補助を見てたら収入が少ない方が得だと感じてしまう」
政府は子育て支援として、子どもが中学校を卒業するまで「児童手当」を支給している。支給額は年齢によって次のように変わる。3歳未満は月額1万5000円、3歳以上小学校修了前は1万円(第三子以降は1万5000円)、中学生は同1万円だ。しかし一定の所得を超えると、月額の支給額は一律5000円になってしまう。
ガールズちゃんねるのスレッドでは、所得が高いとみられる人が、
「累進課税で高額納税させられたうえに児童手当も制限引っかかり保育料も家賃くらい取られる。3重取りみたいなもの」
「うちは結構高い税金を納めているのに区の保育料が月78000円」
といった不満を吐き出している。
認可保育園の場合、保育料は世帯の収入に応じて設定される。その点は理解できても、同じように納税をしているため「支給額に差がつけられているのはおかしい」と感じるのは自然なことだろう。
2019年10月からスタートした幼保無償化では所得制限が設けられていないが、保育料が無料になるのは子どもが3歳以降だ。つまり0歳で入園させた場合は、2歳児クラスが終わるまでは収入に応じた保育料を自治体に支払わなければいけない。
こうした現状から、「色んな手当てとか補助を見てたら収入が少ない方が得だと感じてしまう」と書く人もいた。
「子を待つのが贅沢というより親の意識が贅沢なんだと思う」
一方で、「もっと支援をしてくれ!」と訴える人たちに求めすぎだと批判する声や、子育てを「贅沢品」にたとえることに不快感を示す人もいた。
「子育て支援あるのにもっと求めるつもりなの?昔は何も無かったですよ」
会社務めの人だと、育児休業給付金制度があり、最初の6か月は育休取得前の賃金の67%、それ以降は50%が給付される。育休中は健康保険料や雇用保険料が免除されるので、休業前の手取り額と比較すると8割ほどが支給されることになる。
また子どもには医療費の助成もあり、病気にかかりがちな乳幼児期に発生する医療費の負担を軽くするなど、子育て世帯への補助はすでにあるのだ。
しかし子育て世帯をとりまく環境は、決して良いとは言えない。その最たるものが、経済状況だ。日本人の年収は1996年~97年を境に下落を続けている。収入が下がれば夫婦だけの暮らしでもいっぱいいっぱいで、その環境で子どもを持とうとは思いづらい。さらに年収を上げても所得制限で助成に制約をかけられるとくれば、子どもを育てる生活を「贅沢品」と形容したくなる気持ちはわかる。
少子化はかつてないスピードで進んでいる。政府は昨年12月末に「新子育て安心プラン」を打ち出したが、子どもを持つ人生が贅沢ではなく、望んだ人が普通にできるようになる日が来るのだろうか。