コロナウイルスで経済的な打撃を受けた企業も多い。そうしたなかでも雇用を続け、給与も減らさず維持している企業も多くある。一方で、お店を閉じなければならないなどの対応を迫られる企業も少なくない。それならまだ良い方で、パワハラやセクハラなどで社員を追い詰めてしまうブラック企業もある。
事務職として働く40代女性は、「お中元、お歳暮、おせちは定価で買わされます。ノルマがあり、関連会社の食事券を複数枚購入することもほぼ強制。給料、ボーナスは目標額未達成と年々減額されていくので正直厳しいです」と語る。
女性の勤める会社はすぐに社員が辞めてしまうため、年中求人を出しているという。今回は、ブラック企業に勤める人の声を紹介する(文:中島雄太)
「情報共有はゼロなのに、仕事の手柄を横取りする上司」
技術職に中途社員として入社した40代男性も、ブラック企業での就業経験があるひとりだ。
「出社したときに上司から業務指示を受け、そのとおりに仕事をおこないました。それを夕方に報告したところ、『俺はこんな指示していない』と言われ、放置して帰ってしまいました」
このような状況が数週間続いたため、男性は仕事にならないと感じ、業務指示を事細かくメモに取ることにした。しかし結果は同じだった。
「夕方には『これはさー』とちがう指示の意味だったと毎回言われました。結局、行き当たりばったりの指示で、思いつきでしかなかったと思います」
さらに男性は、ノウハウや情報共有がされない職場の体質にも不満を漏らす。
「会社のノウハウや、先輩の知識や情報の共有もありませんでした。問題が起こっても、人のせいにするばかり。それなのに功績があったときには、上司のものになってしまう。呆れてものも言えませんでした」
「パワハラを目撃したので、労基署へ行こうとしたら咎められた」
営業職をしていた30代の女性は、同僚のパワハラを目の当たりにしたときのエピソードを打ち明ける。
「同僚が社長に、『俺がやれと言ったことはやれ』と言われ、あきらかに無理な売上目標を設定されていました」
女性はパワハラだと感じ、同僚から情報を集めて労働基準監督署へ駆け込む用意をしていたというが、他の社員がその状況を社長に密告してしまう。
「中堅社員が私が嗅ぎ回っていると社長に密告し、予定が狂いました。私がチームの和を乱したと咎められ、始末書を書かされました」
女性はその後、チーム全体の前で謝罪をさせられた。その際、会社側が「これはパワハラではない」と宣言したことに呆れ、女性は退職を決意したという。
同じく営業職をしている30代男性は、冠婚葬祭でも休めない会社にいた。
「募集要項には『冠婚葬祭休みあり』と記載してありました。しかし、実際には有給も使用できず、欠勤扱いでした」
さらには突然の人事異動があり、その対象者は小さな子どもがいる人や最近結婚した人、住宅を購入した人など、現実的に異動が困難な人を遠方に異動させていたそうだ。
募集要項と実際の労働条件が異なる場合は、典型的なブラック企業だ。早い段階で見切りをつけ、次の転職先を探すほうが無難と言えるだろう。
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