投稿者は、近所の会社が長期募集していたこの仕事が「育休代替案件」であることを、事前説明や職場見学で隠されていたという。叶うなら期間いっぱいの3年、あわよくば正社員のお誘いがないかと期待し、真面目に愛想よく契約外の仕事まで率先して行った。それだけに「周囲の情報から察した」ことは相当ショックだっただろう。
働き始めて一年半で、産休社員が課のランチ会に赤ん坊を連れてくるなど戻る雰囲気が醸されてきた頃、案の定、契約終了の話を聞かされたという。「次を探さなきゃ」という焦りの中で、産休社員の保育園が決まっていないので「一か月伸ばさない?」と虫のいい依頼もされたという。後から怒りが沸いてきた投稿者は、
「そう、産休代替とは正社員さまの豊かな未来ある子育て/夫婦生活のために同じ女性の非正規が割を食うクソみたいな制度なのだ」
「産休社員はそこにあった制度を、当たり前に使っただけなので使い捨てにされる派遣社員の気持ちなど1mmも興味もないだろう。何がSDGsか」
などと不満をぶちまけた。
SDGs(エス・ディー・ジーズ)は、世界にあるさまざまな社会問題の解決を目指して国連加盟国が掲げた17の「持続可能な開発目標」のことだ。「地球環境を守る」というイメージが強いが、「貧困をなくそう」「働きがいも経済成長も」など、目標は多岐に渡る。”持続可能な経済成長”が世界の目標でも、個人としては”持続できない不安定な雇用”に頭を抱える日々だとすれば、「何がSDGsか」と不満をぶつけたくなるのも頷ける。
派遣は「高スキルで即戦力のため高待遇」があるべき姿
投稿にはブックマークが400件近く付き、派遣労働者の不遇に理解を示す声が多数寄せられた。
「雇用が不安定な分、非正規雇用は正規雇用の倍以上の賃金をもらうべきだよなぁ」
などと派遣は穴埋め要員ではあるものの「高スキルで即戦力のため高待遇」があるべき姿だという指摘が目立つ。その上で、実際は派遣会社に報酬を「中抜き」され、低賃金で都合よく「雇用の調整弁にされている」といった批判と落胆も広がっていた。かつて派遣労働は名目上禁止されていたが、1986年に労働者派遣法が13の専門職に限り解禁されると、段階的に業種が拡大され続け、現在は何でもありの状態だ。これに言及し、派遣法改悪や政治に異議を唱える声もみられた。
一方で「悪いのは育休制度ではなく、事前に知らせていなかったこと」という指摘も多い。「派遣で補うのはありだと思う」という声もあるように、自ら派遣労働を選んで働く人もいるため一括りにはできないだろう。問題は派遣労働者に対する雑な扱いそのものだ。
コメントには、女性同士の対立を煽るようなコメントもあったが、怒りや不満は近くの個人よりも、公平な制度設計や運用ができていない、政治や企業に向けるべきではないだろうか。「持続可能な開発目標」を掲げるなら、まずは働く人すべてが尊重される社会になってほしい。