キャリコネニュース編集部に、交通誘導警備の仕事を1年で退職したという30代男性(愛知県/年収300万円)から、ブラックな経験談が寄せられた。(文:林加奈)
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「求人情報では日給8000円~と記載されていたが…」
男性が勤務した会社と寮は名古屋市内にあった。「にもかかわらず、現場は豊田市の長野寄り。静岡、岐阜などの遠距離現場しかない」と、遠方への通勤を余儀なくされていたという。それだけでなく
「求人情報では日給8000円~と記載されていたが、実際には最初の3か月間だけで、入社祝い金を上乗せした額の支給でそれ以降は7500円。仕事があるかどうかが当日の17時以降にならないとわからず、全く予定を立てることができない。有休を会社の判断で処理されて、こちらから申請した場合は多忙を理由に取得拒否された」
と、いかにもブラック企業らしいエピソードだ。当然ながら、男性は退職を決意。辞める際にも会社とトラブルになったようだ。
「転職先が決まり会社規定に従い退職1か月前に退職届を提出するも、『そんな短期間で辞めてやっていけるわけがない、こんなもの受け取れない』と言われ、退職届を突き返された」
まさかの請求「最後の給料はマイナスになる。いつになったら払える?」
会社からの引き留めにあうも、何とか退職できた男性。退職後、最後の給料はなぜか手渡しで「源泉徴収(票)もその時に渡す」と言われていたため会社に出向いた。ところが、先方の対応は驚くべきものだった。
「突然『今から給与計算する』と言われ、30分ほど待たされた。普通前もってやるものですよね……。計算したところ、『備品代や制服預り金を引くと最後の給料はマイナスになる。で、どうする?いつになったら払える?』と言われました」
その時男性は、「もっと質問なり疑問をぶつけるべきでしたが、恐怖心で一刻も早く解放されたいという思いが強く、『今月中には』と言って」しまったという。事前に何の説明もなく突然お金を請求されたのだから、動揺して適切な対応ができなかったのは無理もないだろう。男性は請求金額が書かれた手書きのメモを受け取り、会社を後にした。
「帰宅してから冷静になり、天引きの内訳も一切記入しておらず、まるで落書きのような請求書で給与をすべて引いた挙句に、最終給与だけでは足りないからさらに支払えという会社に対し強い憤りを感じた」
男性が編集部に送ってくれたメモの写真には、3万3734円と記載されていた。単なる白いメモ用紙に、拙い字で「ふりこんだらTEL下さい(総務)」と電話番号、銀行の振込先も書かれていた。怒り心頭の男性は、「近日中にしかるべき機関に相談に向かう予定です」と綴っている。
なお、厚生労働省は賃金について「全額支払いの原則」(労働基準法第 24 条)に基づき、企業側が「賃金から強制的に天引きすることは禁じられている」と注意を促している(社会保険料や労使協定で定められたことのみ認められる)。男性には賃金未払いを含め、諦めずに対応を検討してほしい。