静岡県に住んでいるというこの50代女性は、「気に入らないことがあるととことん攻める」という所長から執拗ないじめを受けた。「怖かった」と怯えていた女性は、体調を崩し適応障害と診断されたという。
「食欲がなくなり、同僚と話をしたくない。人の顔色が気になる。誰も信用が置けない。いつまでも眠れない」
精神的に相当追い詰められていたのだろう。何とか理由をつけて退職することになったが、その数日前に同僚からこんな話を聞かされた。
「所長のはいじめ。やめるように言ったけど、私の『悪いところを直してあげてるだけ』と言ったそうです」
退職した今は、公務員として医療現場で働いている。「以前勤めていたときと同様の看護ができて、休暇もしっかり取得でき、給料も安定していてとても満足しています」と前向きに語る。ただ、かつての訪問看護の利用者のことは気がかりのようだ。
「訪問先で『お父さんと話の合う人だったのに残念』と言ってくれた娘さん。また、『あなたはとても優しい』と言ってくださったお父さんを介護している奥様のことが今でも気になります」
上司に恵まれなかった女性だが、利用者とは今でもいい関係を築いていることだろう。