女性は大学病院の給食現場に配属された。
「そこは患者さんのための食事作りをやるとは思えないほど、個人個人のやり方で成り立っていました。最初は何をすればいいのかわからないので質問したら、茹でた野菜を絞ることから始まりました」
共通のルールではなく、個々のやり方で回されていた病院の現場。そんな中でも女性は順調に仕事を覚えていった。しかしある時、思ってもみない指摘を受ける。
「栄養士の方から、『貴方は自分ができると思うから私に聞かないのね』と言われて、困惑しながらも質問しようとしたら『貴方に教えたくない』と跳ねのけられました。そこから毎日毎日そのようなことを言われるようになって、『新人のくせに管理栄養士を持ってるから正社員ってずるいよね』と延々罵られ、ある時は休憩室に置いてあったお金まで抜き取られる始末で人間不信になりました」
「委託を経験しても病院の管理栄養士になれないよ」と教えられ……
新卒入社ながら資格を持っていることや、正社員という待遇に対する嫉妬。先輩からの思ってもみない妬みに、女性は参ってしまった。
「こんなんで病院の管理栄養士になれるのかなと不安に思い、病院直属の管理栄養士さんに相談したところ、『委託を経験してもなれないよ』と教えてもらいました。そこから愕然として『今まで何をしてきたんだろう』と精神的に参ってしまって、最後は鬱になって辞めました」
病院の管理栄養士になるために仕事を覚えた女性だったが、現実は違うことを知り、入社から1年で退職の道を選んだ。女性は「辞めて良かったです」と後悔はない様子でこう書いていた。
「自分の人間性が壊れるぐらいなら、管理栄養士にこだわるべきではありませんでした」