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「先生って非常勤?」 値踏みされ、舐められる教師たち

ネットやSNSの普及で、これまで知られていなかった「教師の知られざる側面」が、子どもや保護者にも伝わってしまうようになりました。

たとえば、教師の労働問題。ツイッターで話題になった「#教師のバトン」は、もともと学校教師の魅力を伝えようという趣旨の呼びかけでしたが、そこに「ヤバい働き方の実態」の告発が集まり、かえって「残念な仕事」というイメージが広まりました。

とある民間調査によると、最近の小中学生は、4?5割が教師という仕事に「働く時間が長い」「責任が重い」「苦労が多い」といったイメージを持っているようです。

そして、教師には「常勤」や「非常勤」といった違いがあることも、知れ渡ってきました。教師を値踏みして「先生って、常勤ですか、非常勤ですか?」と質問する児童・生徒もいるようです。

理由その2:保護者からも「頼りない」と思われてしまう問題

保護者から「学校の先生がモノを知らない」という不満は、よく聞きます。たとえば「女性だから、文系を目指す方が良いよ」などと進路指導をする先生に対して、保護者は「社会の実態とかけ離れている」と憤っている、という感じです。

晩婚化などの影響で、保護者からみると「先生がずいぶん年下」というケースは少なくありません。とある企業で管理職をしているお母様が、先生について「正直、部下の方が優秀」と話しているのを聞いたことがあります。先生を、つい自分の職場の同年代の後輩・部下たちと比べて「頼りない」と感じてしまうのは仕方ないかもしれません。

しかし、こうした親の感覚は子どもにも伝わりがちです。親の態度・評価から、子どもたちも「先生って、そんなに大したことないのかも」と思ってしまうでしょう。

理由その3:仕事としての魅力に疑問符

ベネッセの調査によると、教師が自分自身の仕事について「人気がある」「頭がいい人がつく」「給料が高い」と感じている割合は、いずれも25%未満でした。

給与面・待遇面などさまざまな理由で、やっている人たち自身も「先生という職業」に魅力を感じられなくなっているのでしょう。実際、私の友人の中でも、優秀な人が教師を辞めるケースがあります。先生たちの感覚は、生徒や保護者にも伝わってしまいそうです。

理由その4:先生の不祥事は話題になる

先生の不祥事はニュースで取り上げられ、話題になりがちです。2020年に性犯罪・性暴力で懲戒処分された教職員は133人でした。教職員は87万4000人いるので、

処分された人の割合は0.015%です。読売新聞では、「教諭 + わいせつ」で検索すると、2020年の1年間で248件の記事がヒットしました。教員の性犯罪は、それぐらい世間の厳しい目にさらされているのです。

子どもたち、保護者たちもテレビやネットでこうしたニュースを目にするたび、先生への信頼は揺らいでしまうでしょう。

難易度は上がっていそう

学校の先生をしている複数の友人達は、それでも、子どもたちが「分かった」と喜び成長していく姿に、やりがいも感じているそうです。ただ、生徒・保護者からのリスペクトが得られにくくなっている分、仕事としての「先生」の難易度は、昔よりも高まっていそうです。

学校教育の重要性を鑑みると、待遇改善など、より優秀な人を惹き付ける仕組みが必要だと思われますが……。今の流れを食い止め、教員のイメージ改善につなげるには、今後相当な力が必要となってきそうです。

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筆者画像

近影

【筆者プロフィール】】株式会社STORY CAREER取締役 妻鹿潤(めがじゅん)

大手教育会社にて長年勤務の後、個別指導塾を起業。16年でのべ1600人以上の小中高生、保護者へ指導・学習アドバイスを行う。現在は塾コンサル・プロ家庭教師紹介・不登校・発達障害の生徒の個別指導の他、キャリアアドバイザーとして企業の採用支援、大学生・社会人のキャリア支援を行う。

 

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