宮城県の60代男性は、とある運送会社に大型車両の運転手として勤務。ある時、片道4時間かかるところまで荷物を取りに行ってほしいと指示されたという。
「準備しようとしたところ、1台ではなく2台ということだった。運転だけで16時間かかるので、積載時間・休憩時間を考えると18時間以上かかる。『もし事故をしたときは会社は何かしてくれるのか』と聞いたところ『運転手の責任です。会社は関係ありません』と言われたので、それでは2台は行きませんと断りました」
16時間以上の運転をするだけでもかなりの重労働のはずだ。それを超える仕事の依頼を断った男性の判断は妥当と言える。しかし、
「それまでも1日に16時間を超えることはたびたびあり、ひどいときは20時間超眠らずに運転したこともありました」
というから、いつ事故が起こってもおかしくない長時間労働が常態化していたことがわかる。しかも、会社の不当なやり方はこれだけではなかった。
「ある時は夜中出発し朝卸し地に到着し荷物を下ろしていると『運転手さんどこ通ってきたの?』と聞かれたので『下道で来ました』と答えると『高速代払ってるけどな』と言われ、会社に高速代をピンハネされていることに気がつきました」
男性はその後、体がもたないことを理由に退職したが「社長は会ってくれず、退職願も渡せずに辞めました」と、最後まで後味が悪かったようだ。