コンサルタントとして最初に理解すべきなのは、レビューの厳しさは、クライアントから頂いている高いフィーに見合った品質のアウトプットを出さなければならないことから来ている、ということです。
大手のコンサルファームにおいては、若手スタッフでも月単価200-300万円のフィーが発生することも当たり前です。一方、システムエンジニアなどIT系では、高い方でも月単価100-150万円程度の水準であることが多いようです。
このような高いコンサルタントのフィーが正当なものであるためには、我々は最高水準のサービスをクライアントに提供しなければなりません。一つ一つのアウトプットが細部まで完璧でなければならないのです。
たとえば、調査報告書を作成する際に、
・クライアントが抱える課題を解決できるような意味のある結論が、有効なファクトとともに示されているか
・成果物全体/セクション単位/ページ単位でそれぞれメッセージやロジックが矛盾していないか
・すべての数値が正確かつページ間で有効数字などの表現が一貫しているか
・レイアウトやフォントなどがファームの定めるルールに沿ったものであるか
など、厳密なチェックが行われます。
一見、細かすぎるように思えるかもしれませんが、形のある成果物は最終報告書のみ、というプロジェクトも多く、その唯一の成果物の品質を担保するために必要なプロセスなのです。
指摘の対象はアウトプット、人格への否定ではない
次に重要なのは、レビューで指摘されるのはアウトプットの品質や作業計画そのものであり、あなたの人格や存在価値が否定されているわけではないということです。
レビュー者は、レビューを受けるスタッフのスキルや能力を信じ、さらに高いパフォーマンスを発揮できるよう、そしてプロジェクトが成功を収められるよう、厳しいフィードバックを行っています。
たしかに、レビューでの指摘が非常に厳しいものであった場合、「自分自身の存在価値が否定された」と思ってしまうこともあると思います。
それを自身への批判ではなく、成果物の品質を高めるためのフィードバックである、と切り分けて考えられるようになると、レビューの場を通じてより多くのことを学び、次回からはさらに良いアウトプットを出せるようになります。この切り分けがうまくなると、「メンタルが強くなった」と実感できるかもしれませんよ。
そして、万が一、人格への批判や侮辱的、攻撃的な言葉での指摘など、不適切な言動があれば、それは立派なハラスメントなので、プロジェクト外の別の上司や人事などに相談し、改善を求めていきましょう。
厳しいレビューとハラスメントの境目が曖昧だった時代もかつてはありましたが、今ではどこのファームもそれらを明確に区別し、ハラスメントを許容せず、もしハラスメントが発覚した場合は厳正な対応を取る、とのメッセージを打ち出していますからね。
詰められる経験は、成長の糧と捉えよう
「詰められる」経験は、新人コンサルタントにとってはとても辛く厳しいものかもしれません。
しかしレビューを受けることで、上司がどのような観点から成果物をチェックしているのか、成果物の品質を上げるために次回からできることはなにか、クライアントの期待値はどれくらい高いものなのか、などのポイントを学ぶことができます。自分自身の問題解決スキルやプロジェクトマネジメントスキルを向上し、より一層自立したコンサルタントになるための重要なインプットを得られる機会だと捉えましょう。
度が過ぎた指導はもちろんいけないことなのですが、コンサルティングは”プロフェッショナル”と呼ばれるに相応しいサービスをクライアントに提供しなければならないハードルの高い仕事でもあるため、どうしても一定の厳しさをもった品質管理プロセスが必要となります。
このような過程も、より高いバリューをストイックに求めるコンサルティングという仕事の醍醐味のひとつ、と捉え、成長の糧として楽しんでしまう、くらいのスタンスで取り組んでいけると素敵ですね。
ではまた次回!
外資系うさぎのちょこさん
職業:プロの転職家、外資系渡り兎。現在は某グローバル総合系コンサルファームのシニアマネージャ。 コンサル業界ネタを中心に、若手ビジネスパーソン、就活生、転職活動中の各位向けの有益な情報を呟いたり有益なnoteを書いたりしています。フォローすると有益になれます。
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