その人は、70歳を超えているように見える男性だった。女性は「アンケートのやり方がわからないのかな?」と思い再度説明したが、男性は「だーかーらー、Aは何なんだ?」と苛立った様子で繰り返してきたという。
「私が『Aが何かは、あとでお教えします。私と一緒にやりましょうか?』と言うと、男性は頷いたので、1問目を声に出して読みあげました。そして『どうです?当てはまりますか?』と聞くと、男性は『Aは何なんだ?』とまた繰り返しました。私が『あとで教えますよ』ともう一度言ったら、男性は突然『あんたも知らないんじゃないか!』と声を荒げました」
男性から「血走って殺気立った目」でじろっと見られ、女性は恐怖のあまり硬直してしまった。その尋常ではない空気を感じ取ったのだろう、会場を貸し出していた自治体の職員が部屋の隅から駆けつけ、男性に「とりあえず答えましょうよ。嫌ならやらなくていいですよ」と言ってくれたそうだ。結局、男性は「じゃあやらないよ」と言い、席を立って帰ってしまったという。一体、何のためにセミナーに参加したのだろうか。女性は、
「私は恐怖心から解き放たれホッとしたためか、涙が出てきました。あとから職員の女性に聞きましたが、その男性はセミナーに応募してきたときから横柄な態度だったそうです」
と振り返った。もしかすると男性は、最初からクレームをつけるつもりでセミナーに参加していたのかもしれない。女性は、
「これを読んで『その程度で怖い?』と思う人もいるかもしれませんが、クレーマーの恐怖は対応した人にしかわからないと思います。クレーマーは要求を通すために理不尽なことを言うだけでなく、言葉のナイフで相手をズタズタに傷つけ、弱っていくのを見て楽しんでいます」
と持論を語る。そして、
「日常的にクレーマー対応している職業の方、店員さんなどが心を病み、辞めてしまうのもわかります。日本全体が人手不足のなか、クレーマー問題は店を利用している国民全員に関わることとして、そろそろ自分ごととして考えていかないとならないのではないでしょうか」
と切実に訴えていた。
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