インバウンドの回復に伴い、押し寄せる外国人観光客に対する困惑の声が上がっている。ただ、厄介なのは観光客だけではないようだ。京都の有名観光スポットのそばにあるコンビニで勤務する50代の男性は、連日店舗のトイレが観光客で長蛇の列となることに辟易している。
あるときは、外国人観光客から「トイレにペットボトル1本分のお茶をこぼしたから掃除しろ」と呼びつけられたり、翌日にはトイレの消毒スプレーのレバーが折られて破損部品が隠されていたり、ため息をつくような出来事の連続だった。しかし「最近一番ひどかった事例」として語るのは、こんなことだった。
「オムツを流されて詰まらされ、汚水が逆流して来たことです」
トイレは汚水まみれとなり、悲惨な状況となった。他にも納得できないことがあるという。(文:篠原みつき)
「詰まりの原因がオムツであると業者から聞いてビックリでした」
汚水が逆流してきたその日。
「トイレは汚水まみれ、業者が来るまでに清掃しておいて業者待ち、急いで来てもらって半日がかりでやっと復旧しました。復旧後に詰まりの原因がオムツであると業者から聞いてビックリでした」
男性は、「日本人なら絶対にしませんからまた外国人がされたことと分かりガッカリしました」と肩を落とす。汚物の掃除も辛い、業者へ修理代もかかる、さらにあり得ない原因が判明し失望は大きかっただろう。
トイレ掃除にクレームつけてくるタクシードライバーにも辟易
また、観光スポットなのでタクシードライバーの利用も多く、彼らから理不尽な叱責を受けることもあるという。
「一部の方はやはり、コンビニトイレはいつでも自由に使っていい場所、清掃がいつも行き届いていて当たり前、『他の客が汚していた場合はそれに気付かない従業員が確認不足で仕事サボってる』と決めつけて叱責して来られるので、従業員はそういう態度やクレームに辟易しています」
これに、コンビニトイレは公衆トイレではないと主張する男性。トイレは店舗の所有物であり、買い物客が気持ちよく買い物できるように貸し出しているだけ、それを一部のタクシードライバーが誤解していると批判する。
自分たちコンビニ店員は、「接客レジや商品納品の検品陳列、店内ホットスナック調理など多数の作業の間隙を縫ってトイレ清掃している」といい、無茶な使い方で汚して行く客もいる中で、常にキレイを保つことは難しいと言う。そんな中、
「清掃が行き届いてないのは従業員の責と決めつけて、他のお客様の前で大声で叱責されるのはちょっと違うと思いながら、いつも謝っています」
確かにこれはしんどいだろう。男性は、
「皆様は、大してお付き合いのない方のお家に用事でお伺いしたときに、何も言わずにその家のトイレに行かれますでしょうか?そのトイレが汚れていたら、家主に汚いと叱責されるでしょうか?」
と疑問を投げかけ、「その家がコンビニであった場合は話が変わって何でもしていいのでしょうか?」と怒りをあらわにする。
「この店の従業員は皆、そういう疑問を抱きながら毎日3~4時間ごとにトイレ清掃を黙々とこなしております」
と切実な思いを語った。また、正直に言えば、店員に「ありがとう」と声をかけなくてもいいので、店の商品を買ってくれるほうが報われるとも明かしている。
「現金的すぎて申し訳ないですが、小売業は販売するのがメインでトイレは付帯サービスですから、サービスにお礼を言われるよりメインが潤うように行動いただけるのが我々には助かります」
それだけに、「付帯サービスの状況を叱責されると、サービス継続の心が折れそうになります」と、トイレ貸し出しをやめたくなっている心の内も明かした。実際のところ本部の意向もあるので今すぐ利用禁止にするのは難しいかもしれないが、有料化などなんらかの対策は必要ではないだろうか。最後に、祈るようにこう書いていた。
「皆様がトイレ利用は持ちつ持たれつであると思っていただける日がいつか来るのを心待ちにしています」
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