その夜、予約した宿に向かうも、なかなか見つからない。近辺を2~3周して、ようやく見つかったという。「普通の古い民家のような所」で、詳細まではっきりと覚えていると語る。
「玄関を開けると土間があって、2畳程の待ち合いがありました。『ごめんください』と言うと奥から老婆がでてきました。待ち合いに上がると隅には四足の古いテレビ。そして、障子を開けると回廊のような濡れ縁が小さな坪庭を囲ってます」
「正面に階段が見えましたが昇り口に何故か花が置かれ、2階の部屋の入口は雨戸で塞がれていました」
入ってから不思議な点ばかりが目に付いたが、男性は障子を開けて出るとすぐ左へ案内されたそう。正面には、むき出しの小便器が見えるトイレがあり、そこを右に曲がったところが男性の泊まる部屋だった。部屋に入ってからも違和感は消えない。
「部屋に入ると6畳、8畳の続き部屋。6畳の部屋に座卓と何故か鏡に布の掛けられた鏡台、奥の8畳には布団が敷かれてました。何というレトロ過ぎる旅館。私は来たことを後悔しましたが今更帰ることも出来ず、その日は泊まりました」
その夜は「電気もテレビもつけたまま」寝たという。本当は3泊する予定だったが、「急用ができた」と言って翌朝すぐにチェックアウトした。当時の心境をこう明かす。
「これ以上そこに泊まることは出来ませんでした。怖すぎます」
しかし、話はこれで終わらない。本当の恐怖体験はここからだった。
「後日、もう一度その旅館を探そうとしましたが、どれだけ探しても見つけることが出来ませんでした。壊された跡もありません。私はいったい、何処に泊まったのでしょうか? 幽霊体験ではありませんが、40年以上経った今でも忘れることのできない恐怖体験です」
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