
画像はイメージ
接客業では服装や髪型など、身だしなみに規則を設けていることが多い。客を不快にさせないためにあるはずが、中には何のためのルールかと疑問でしかないものも……。
大阪府の野田さん(仮名、40代女性)は10年ほど前にレストランに勤めていた時に、下着に関する規則もあったと打ち明ける。それを決めたのは、当時38歳で独身だった男性マネージャーだった。編集部は野田さんに、下着ルールの内容を詳しく聞いた。(文:天音琴葉)
「白だと下着が透けるから、2枚重ねにしないとなんだけど?」
「平成末期頃、まだ世の中にコンプライアンスの意識が出始めた頃です」と野田さんは語り始めた。当時働いていたレストランはホテル内にあり、女性スタッフは20人、男性スタッフは10人ほどだった。女性スタッフの身だしなみには次のルールがあった。
「黒のセミタイトスカート、白のカッターシャツ、黒のタイで、髪は一つに丸めるルールでした」
だが白いシャツは下着が透けるという難点があった。一方で女性スタッフはグレーや黒のキャミソールやタンクトップを着ていることが多かった。すると女性陣の下着に関して、「長身ですっきりした見た目」という男性マネージャーは、ある「お達し」を出してきた。
それは「シャツの下には白の下着以外、着てはならない」というものだった。だが白いシャツの下で白い下着はむしろ目立つ。男性マネージャーは知らなかったのだろうが、多くの女性が経験していることだ。女性スタッフからは、
「白だと下着が透けるから、2枚重ねにしないとなんだけど? しかもブラもショーツも白指定って、何それ? そんなダサいアンダーでは、私服になってからのデートにも影響するんだけど……」
という戸惑いの声やブーイングが上がるも、当の本人は知らんぷりだったそう。
ベージュや薄ピンクは最も透けにくいはずが、白以外は許さず
当該マネージャーの普段の仕事ぶりは、「可もなく不可もなく。言われたことを無難に片付けるタイプに見えました」というが、下着の色を指定するのは明らかに行き過ぎだ。「プライベートな時間にも影響する合理性のない指定でした」と野田さんも当然、納得がいかなかった。
だが理不尽でも指示に従わざるを得なかったようだ。まずバイトリーダーの女性が白い下着をつけるようになり、次第にパートたちも薄い水色やピンクの下着に変えていった。ところが男性マネージャーは白以外の下着は断じて許さなかったという。
「ブラ紐が透けて見えるため注意され、仕方なく白に変えました。最も透けて見えにくいベージュや薄ピンクも注意されました。白い下着は完全に男性マネージャーの個人的な趣味かなと思いました」
こうして女性スタッフは白い下着をつけるようになった。だがかえって下着のラインが目立ち、「目のやり場に困る」と男性陣からもブーイングが出るように……。それでも下着ルールをなくさない男性マネージャーが「白い下着は個人的な趣味」と揶揄されるのも無理もない。
だが半年後、そんな事態が急転した。男性マネージャーは遠方に異動になったのだ。発表になった時に「助かったー!」という声と拍手が女性陣から沸き起こったという。
代わりにやってきたマネージャーは、「45歳くらいの、堅物な印象の男性です。いかにもホテルマンらしい人」だったそう。この頃から黒いタイトスカートではなく黒いパンツに制服が変わり、新マネージャーは下着については「個人に任せる」とのことだった。当然だろう。
左遷された旧マネージャーは、どうやら下着ルールの件以外でもパートから嫌われていたようだ。
「懇親会のカラオケで、アラフォーパートさんに山口百恵やピンクレディーを入れて歌わせようとしていました。普段は大黒摩季や大塚愛などの当時、月間ランキング入りしていた人気曲を歌っている人たちだったのに、かなりの高齢者扱いしていました。宴会の席で夫婦生活について尋ねたこともありました」
この飲み会での様子からも、白い下着は本当に個人的な趣味だったのでは……と思えてしまう。
※キャリコネニュースでは「職場の理不尽ルール」をテーマに投稿を募集中です。回答はこちらから https://questant.jp/q/6X7DDQQA