この状況を「事務はひと月に計6回入金しているのですから、人件費の無駄でもあります」とも指摘する。確かに3回に分けた上に分割では大変な手間だ。それほどまでに資金繰りが危ういのだろう。
当然の権利を主張してみたこともある。「仮にクレジットカードなら、指定日に引き落としができなかっただけで1日分延滞金がつくので、遅れてもいいので延滞金をつけてほしいと言いましたが、却下されました」と案の定、要望は通らなかった。
この経緯を労働基準監督署に相談したものの、衝撃的な答えが返ってきたそうだ。
「この件に関して労基は動けないので、職場の労働環境を改善しようと無駄なエネルギーを使うくらいなら早く転職した方がいいと言われました」
悪質なケースでは調査が入り行政指導が行われることがあるようだが、まったくの不払いでもないからだろうか。毎月の朝礼では、経営者が「今月も給料がきちんと払えない」と頭を下げに来るという。
「以前は、何も知らされず支給日に給料が入っていないということもあったので、連絡に来るだけましです(こんなことを書いている私もダメです)。最初は皆神妙な面持ちでしたが、最近は経営者の顔を見るだけで、朝から働くモチベがダダ下がりです」
これでは職場全体も、士気の低下が著しいだろう。
斜め上の改善策「みんなが時間に余裕を持ってアルバイトに行けるようにする」
そんな中、会社は「副業を推奨」しており、定時前には職場に異様な光景が展開するという。
「終業時刻前になるとタイムカード前に社員の列ができています。次のアルバイト先までの時間がタイトだからです」
そして女性が「この会社、一番ダメだなと思った」ことは、来年から勤務時刻が変わることだ。会社は根本的な問題を解決するどころか、斜め上の「改善策」を打ち出した。
「15分早く出勤して15分早く退社、その理由はみんなが時間に余裕を持ってアルバイトに行けるようにするためで、もはや副業ありきの本職になってしまっています」
給料をまともに払う努力ではなく、副業を支援することで不満を軽減しようとする経営陣。女性は「これで給料の遅配も分割支給も、社員からの不満もカモフラしたわけです。それを聞いて喜んでいる社員もダメだと思いました」と、会社と同僚への絶望感を滲ませた。
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