加藤さんの勤める会社は、社員数1000人近い規模だ。問題の発端は今年はじめ、固定電話を廃止し、「会社支給のスマホ」で担当部署にかかってきた電話を受電できる格安アプリを導入したことだった。
事務職の数十人にこの端末が配布されたが、導入直後から一部の社員による「受電逃れ」が横行し始めたという。
「アプリの通知を切るどころか、電源を切ったりマナーモードにしたり。ひどいのは、スマホをロッカーに入れたままにして、最初から電話を取る気がない者もいます」
加藤さんによれば、以前の固定電話であれば、誰のデスクで音が鳴っているか一目瞭然だった。しかし、スマホアプリになったことで「誰が取っていないのか」が周囲から見えづらくなった。それが、不真面目な社員たちの隠れ蓑になってしまったようだ。
「出ない理由を詰問したが回答なし」
当然、しわ寄せは真面目に働く社員に及ぶ。外部からの問い合わせが多い部署のため、受電数は決して少なくない。
「結局、私を含めた特定の少数の人間に受電が集中しています。電話に出ない社員たちに、なぜ出ないのかと直接聞いたこともありますが、一切回答はありませんでした」
呆れたことに、経営層はこの惨状を「気づかぬふり」で通しているという。特定の人間に負担を押し付けてでも、目先の通信コストが下がれば満足なのだろうか。
幸い、加藤さんら一部の社員が必死に対応しているため、現在のところ顧客や取引先との大きなトラブルには至っていない。しかし、そこには常に「現場の善意」で支えられているという危うさがある。
挨拶すらできない……「人を大事にしない職場」の末路
加藤さんは、今回の件に限らず、以前から職場のレベルの低さに不満を感じていたという。
「まともに挨拶すらできないし、送ってくるメールの文章も稚拙。マルチタスクもできない。やる気がないという以前の問題です」
こうした状況に対し、加藤さんは会社側に誰が電話に出ているのかなどの受電状況をデータで確認するよう提言。さらに、電話に出ない社員の評価を適正に下げるよう、強い不快感とともに要求しているという。
「真面目に働いている人間が損をするような組織では、優秀な人から辞めていくでしょう。今の受電状況をしっかりと数値化して評価に反映させるべきです」
デジタル化によるコスト削減は企業の重要事項だが、それによって従業員のモラルが低下し、一部の社員に過度な負担がかかるようでは本末転倒だろう。なんとか現場の「逃げ得」を許さない仕組みに改善してほしいものだ。
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