「経営者目線で働け」と社員に言うのはマネジメント失敗の証なのか 「働き過ぎを招きかねない」と危険視する向きも
会社から「経営者目線で働け」と言われた経験はないだろうか。言った方としては「自分の頭で考え、向上心を持って働け」という意味なのかも知れないが、よくよく考えると、一介の従業員がなぜ経営者の立場で物事を考えないといけないのか、疑問も多い。
6月16日、2ちゃんねるに「経営者だけど、社員に『経営者目線で働け』って言うのはバカの極みだと思う」とうスレッドが立ち上がり、話題となっている。
「社員にこういうこと言う時点で、経営者の能力不足だろ」
スレ主は「自分の会社じゃないのに必死で働く奴なんていない」とコメント。やはり、社員は雇われである以上、経営者とは絶対的に立場が違う、という考えのようだ。この意見に対し2ちゃんねるでは、
「無能経営者の『経営者目線で働け』ってのは、会社を第一に考えて働けって事だよ。滅私奉公しろって意味」
「経営者が社員にこういうこと言う時点で経営者の能力不足なのと人徳がないんだと思っていいと思う」
といった声が挙がった。経営層が安易に「経営者目線で働け」と言うのは、無能の表れだと批判するものが多い。
スレ主は、「給料を当たり前にもらう顔する社員も嫌だけど、経営者が大変な思いしてたらそれでいいんだよ。固定給の社員にそれ以上もとめるからブラック化するんだよ」と指摘。
「従業員に経営者目線とか言ったところで意識改革などできるわけない」
「新入社員の一部の優秀な子は 自己啓発本読みまくって素晴らしかったけど いつか破綻するだろうなと思ったわ」
としている。
脱社畜ブログ「『給料分はたらく』という大原則は忘れないようにしたい」
この「経営者目線で働け」という言葉は、以前から度々議論の的となっている。イケダハヤトさんは、2013年のブログで「従業員が経営者目線を持っていないのは、従業員が無能だからなのではなく、会社の仕組みが悪いからです」と指摘。
「『経営者目線を持て!』と幹部が言わなければならない時点で、マネジメントや採用に失敗しているんです。経営者として、無能だということです」
と切り捨てる。
また、「脱社畜ブログ」を運営する日野瑛太郎さんも同年のブログで、「仕事の意味や理由を認識することは重要なことだ」としつつも、「従業員が過度に経営者目線を持つ必要はない」としている。
「一介の従業員の分際で、経営者目線を持ちすぎるのは危険である。それは働き過ぎを招くことになりかねないし、そんなことをしても報われることはない。『給料分はたらく』という大原則は、どんなときにも忘れないようにしたいものである」
とし、従業員はあくまで従業員の立場を貫くことを強調している。
指示待ちすぎるなど、あまりにも消極的な姿勢は困りものだが、従業員が経営者の立場に立って仕事を進め始めたら、かえってまとまりのない組織になってしまうのではないだろうか。
筆者(編集部S)は以前勤務していた会社から「経営者目線」に立てと言われたことがあるが、「できません」と回答した。資料や予算、事業計画など、経営者の立場で考えるためのリソースが一切提供されなかったからだ。従業員に必要なものを与えず、ただ「経営者目線で考えろ」と言うだけというのはおかしいと思う。
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