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会社を辞めてネット時代の「宗教」設立 元DeNA社員の「退職エントリー」が話題

10月からの下期を前に、9月末に「退職エントリー」がネット上にいくつかあがっている。中でも目を引いたのが、「DeNAを退職し宗教を立ち上げ書籍を出版しアメリカで起業します」というエントリー。web系エンジニアの「グニャラくん」こと末永匡さんが、自身のブログに投稿したものだ。

末永さんはDeNAのゲーム制作部門に在籍。国内外向けソーシャルゲームの開発に携わり、優秀な同僚と働けたことなどが大きな糧になったという。退職後は技術系の書籍を出版し、知人と一緒にアメリカでITベンチャーを起業しながら、「Virtual Religion」という新しい宗教を立ち上げたという。

「ネットで楽しく過ごすため」の教義並ぶ

1010vir末永さんは、宗教の教義には社会情勢を反映した「ライフハック」の側面があることに着目。インターネット時代に登場した新しい宗教は、ネット上での振る舞いに関した教義を持つとになるとし、「インターネット上で楽しく過ごすため」の宗教にした。

すでにネット上には、教義をまとめた公式サイトをオープンしている。「信者はインターネット上で以下のようにふるまいます」と掲げ、「正義感は人を幸せにするために使います」と続く。たとえ相手が道徳的・法律的に責められるべき人物だとしても、「正義のため」として誹謗・中傷してはならないと語りかける。

「言葉遣いに気を遣います」という項目では、「マスゴミ」「パクリ」「幼稚」といった相手を批判する言葉のほか、「論破」という言葉も避けるべきだと主張。相手があっての議論なのに相手を破ってしまっては、議論を通して共通認識を深めることができないとする。

意外なところでは、ブログのコメント欄などで使われる「通りすがり」という言葉もダメ。「私は意見を言うけれども、通りすがりなので反論は聞きません」という意味合いが込められているので、控えるべきだそうだ。

基本的にどの教義も、ネット上での実りのない罵り合いやバッシングから距離を置いて精神的な安定を図り、日常の現実生活を充実させるのが趣旨だ。加入は公式ツイッターアカウント「@vr_religion_ja」をフォローするだけ。脱退はフォローを外せばいい。信者はお布施など金銭を払う必要もなく、2020年までの宗教法人化を目指しているとしている。

マンネリ化した退職エントリー界にさわやかな風

米国には、「知性ある何か」によって生命や宇宙の精妙なシステムが設計されたとする「インテリジェント・デザイン説」を公教育に持ち込むことを批判するために「空飛ぶスパゲッティモンスター教」が創設されたが、「Virtual Religion」もそれと同様の「フェイク宗教」というスタンスだ。

末永さんの経営する株式会社wktkに掲載されたプロフィールなどによると、末永さんは1980年生まれ、東京工業大学出身。アメリカで一緒に起業する紀平拓男氏は、2009年にニコニコ動画に「【プログラミング】テトリスを1時間強で作ってみた【実況解説】」を投稿したプログラマーのようだ。

DeNAの前は未来検索ブラジルにいて、ニコニコ版ウィキペディアとも言える「ニコニコ大百科」の企画・開発、運営に携わった。このとき自らが書いた「ニコニコ大百科:楽しく過ごすために」という項目を加筆修正したのが「Virtual Religion」の教義になった。

エンジニアが会社を辞める際に「退職しました」エントリーを書くことは、すでに恒例となっているが、その多くは過去の仕事を自慢気に披露し、「独立したので仕事ください」「高給で雇ってください」と売り込むような内容が増えつつあると冷ややかに見る向きもある。

その中で「宗教立ち上げ」をタイトルに掲げた末永さんのエントリーは、マンネリ化した退職エントリー界にさわやかな風を吹き込んだと歓迎の声があがっている。「退職エントリーはこれくらいやらねば」というわけだ。

また教義についても「良いこと書いてある」と感心する声が多く、早くも「入信した!」という書き込みも多数ある。ただ、潔癖すぎると映る人もいるようで、「俺はこんな『良い子』になれねえよ」と拒否反応を示す人もいた。

あわせて読みたい:日立グループのローカルルールが話題

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