当時、男性は関東の比較的小さな紳士服店で店舗運営に従事していた。社員は店長と男性の2人だけで、ほかに4人の女性パートが働いていたという。
その中に、Aさんという入社半年ほどの女性パートが「結構ミーハーな方で、ルッキズムを至上とするような方でした」という特徴があった。
「残念ながら私はそういう意味では地味な顔立ちのため、それだけでAさんからは、ファッションの店員としては地味だとか、スーツが似合ってないだとか、いろいろ陰でこそこそ言われているようでした」
陰口の対象は男性だけでなく店長にも当てはまり、社員2人は辟易していた。しかし、「仕事に私情は挟めませんので、気にしないようにしていました」と割り切って業務にあたっていたという。
「主任、お世話になりました。ずっと思ってたんですけど……」
しかし、Aさんは陰口を言うばかりでなく、次第に仕事も適当になり、ついに客からクレームまで招くようになってしまう。
「店長も私も気が付けば注意するようにしていましたが、それが気に入らなかったのか、突然退職を申し出てきました」
店長との面談後、私物をまとめたAさんが事務所から出てきたときのことだ。すれ違いざまに、男性はこんな捨て台詞をぶつけられた。
「主任、お世話になりました。ずっと思ってたんですけど、主任がピンクのワイシャツとかネクタイ身に付けるのってそれだけでなんかセクハラですよね」
当時、紳士服でもピンクのワイシャツやネクタイが売れ始めていた時期であり、男性も時折身に付けていたそうだ。当時を振り返り、後味の悪さをこう書いている。
「なんともひどい言いようだと、今でもその時の嫌味ったらしいAさんの表情と言葉は記憶に残っています」
その頃は、「ようやくハラスメントの概念が世間に浸透し始めた頃」の出来事だったという。とんだ捨て台詞として使われてしまったようだ。
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