当時、生活が困窮しており、少しでも早く働きたいと考えていた。自宅から近く、すぐに働けるという理由で派遣会社から紹介されたのが、その会社だった。
職場には50人ほどの従業員がいたという。周りを見た上田さんはあ然とした。
「20代くらいの社員10人ほどが、当時流行っていたイメージカラー診断のサイトを印刷してギャーギャー騒いでいました。お菓子を食べながら雑談したりして、まるで学校の休み時間みたいでしたね。電話も鳴らないし、周りを見てもネットサーフィンをしているか寝ている人ばかりでした」
結局、仕事の指示は一切なく、上田さんも自身の席でネット上のゲームをして終業時間を待つしかなかったという。
「昨日休んだでしょ!使えないから帰ってくれない?」
翌日も同じ異常な光景が広がっていた。不安を覚えた上田さんが派遣会社に相談するも、「そういう会社もあるということで、社会勉強になるじゃないですか?」と取り合ってもらえなかったそうだ。
仕事のない空間で精神をすり減らしたのか、出社して2日目の朝に激しいめまいが襲い、上田さんはたまらず早退してしまう。そして、次の日のことだ。
「会社に行くと、私の席に知らない別の人、派遣社員が座っていました」
一体どういうことなのか。事情を確かめるため、その派遣スタッフと連れ立って上司のところへ向かうと、上司は悪びれる様子もなくこう言い放ったという。
「あーっ、昨日休んだでしょ!使えないから帰ってくれない?」
突然の就業終了に対し、上田さんはたまらず「私に、何も仕事を与えてくれませんでしたけど? 使えないってそれ変じゃないですか!」と強く言い返したものの、状況は変わらなかった。
「あわてて派遣会社に連絡を入れたんですが、担当者は『言うの忘れてた。じゃあ登録削除しますか?』と冷たく言うだけ。まったく納得がいきませんでした」
「よく潰れないなと思いながら通り過ぎています」
不当な扱いに納得がいかず、労働基準監督署にも相談したが、「派遣会社のトラブルはうちでは扱っていない」と案内されたという。上田さんは結局、それ以上の行動は諦め、その職場を離れたそうだ。
10年以上が経過した現在でも、そのインテリア関係の会社は同じ場所に存在し続けているという。上田さんは、たびたびこの件を思い出しては疑問を新たにしているそうだ。
「今でも前を通るたびに、この会社は一体何を扱っていてどんな仕事をやっているのか、よく潰れないなと思いながら通り過ぎています。ただ、当時関わった派遣会社はすでに消滅しており、やっぱりねと納得しました」
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