終わらない「好きなことを仕事にすべきか否か」論争 後悔しないのはどっち?
新卒での就職活動でも、転職を検討するときにも、必ずと言っていいほど起こる悩みがある。好きなことを仕事にするか否か、だ。好きなことを仕事にするのは楽しいが、好きであるがゆえにこだわりが強かったりすると、それはそれで辛かったりする。
はてな匿名ダイアリーでも3月21日に「好きなことで金を稼ぐって悪いことなのか?」という問いかけが投稿された。投稿主はプログラマーとして働く社会人2、3年目で、仕事に満足げだ。
「俺にとってプログラムは最高に楽しいもので、今エンジニアとして働いて金もらえて『サイコー』って感じだし もらった金で新しいキーボード買って俺得なプログラミング開発環境作って『たのしー!』ってする毎日をすごしてんだわ」
と、いかに好きかを熱く語るが、
「そういう話すると『お前社蓄かよ仕事たのしいとか頭沸いてるだろ』とか言われるんだよなー 何かおかしいの?」
と、常々感じている疑問を投げかけた。
「普通の人はそれを出来ないから否定する」
これに対し、
「若い頃に好きな仕事ばかりしてると、嫌な仕事を楽しむ能力が育たない。今の仕事が嫌いになった時に、苦痛を味わうから要注意」
と、水を差すコメントもあるが、大半は「好きなことで稼ぐのは悪いことではない」という立場だ。
「楽しいっていいじゃん!仕事してれば嫌なことなんて向こうからやってくるんだから、今は目一杯楽しめばいいと思うの。嫌なことは来た時に考えたらいい。やりたいことやってないと、自分の中の優先順位が育たないよ」
「楽しんで金を稼げているのはとても良い事。普通の人はそれを出来ないから否定するし、後から苦労するとか言うが、無視して楽しんで仕事をしながら能力を開発せよ。苦労や嫌な仕事は何をしようとぶつかる。そんなもん」
「仕事にすべき」派と「切り離すべき」派はほぼ同数
こうした「好きなことを仕事にする」ことへの議論はこれまでも何度も起こっており、収束の気配は無い。昨年6月にもJOBRASS就活ニュースが、好きなことを仕事にすべきか否かというアンケートを実施している。結果は「好きなことを仕事にすべき」(51.1%)、「切り離すべき」(48.9%)とほぼ半々で、白黒つけがたい命題であることが一目瞭然だ。
「仕事にすべき」派は
「1日の3分の1以上は仕事をして生きているので、好きでないと40年も続けられない」(男性/会社経営・役員/45歳)
「好きでなければ、情熱を傾けられない。大半の時間を費やす仕事に情熱がなければ、なんの人生なのか、意味がない」(男性/公務員/40歳)
「切り離すべき」派は
「公私の区別ができなくなる」(男性/総務・人事・事務/49歳)
「好きなことは取り組みやすい。スキルアップには、苦手なことを克服するべき」(男性/その他/47歳)
といった理由を挙げる。どちらも一理あるが、「スキルアップには苦手なことを克服するべき」という主張は、ややブラックな印象も受ける。好きなことを仕事にしてもしなくとも、困難な場面や苦手な案件はどうせ避けられないのだとすれば、好きなことに関わっているほうがお得な気もしてくる。
そろそろ年度も変わり、新しい一歩を踏み出すにはぴったりの時期がやってくる。人生の大半は仕事をしているのだから、どんな仕事をするかは、人生の充実度を大きく左右すると言っても過言ではない。就活生も転職者も、じっくり考える価値のある問いだろう。どっちを選ぼうと、個人が納得して前に進めるならば、きっとそれが正しい結論だ。