勤務医の超ブラックな実態! 「残業が50時間以上になると強制的に訂正」「労基の指導を守ると医療崩壊」
まず、勤務医を対象に「勤務時間管理の有無」について聞いてみると、54.1%は「管理していない」と答えた。ある公立病院の心療内科に勤務している40代医師は、
「今まで勤務した病院で医師用タイムカードのある病院は、1か所のみです」
と言い、勤務時間・残業時間は自己申告制でありタイムカードは導入されていないという声が多い。また医師以外の業種は管理されているという例も見られた。
循環外科に勤務する40代医師は、1か月の超過勤務が80時間を超えるか、3か月で合計200時間を超えると強制的に休暇を取らされるという。そうなると業務に支障をきたすため、
「実際はそれらを超えないように、申告時間を自分たちで調整せざるを得ない状況です」
と現状を暴露する。
一方、「管理されている」と答えた勤務医(45.9%)も、恩恵を受けていると感じている人は少ないようだ。消化器外科に勤める40代医師は、
「タイムカードタイムカード制ですが、それは院内滞在時間であって、超過勤務とは別」
とキッパリ。院内で講演や学会用の資料を作成したり、臨床試験業務を行ったりしていても超過勤務とは認められないという。
また50時間以上の時間外をつけると強制的に訂正されたり、定時になったら業務上でもタイムカードを押すように指示されたりすることもあるようだ。そのことについて代謝・内分泌科勤務の30代医師は、
「いざ何か起きた時、私は定時内でしか働いていなかったことになります…」
と自分の身を案じている。
労働基準監督署から指導を受けることもあるが「真面目に守ろうとすると、医師が足りず、医療崩壊を招くことは必至」だといい、麻酔科勤務の50代医師は「(労基は)誰を守ろうとしているのやら、ひどいものです」と嘆く。もはや超勤状態を放っておいて欲しい、ということなのだろうか。
開業医も大変! 70代医師「週末まで一日11時間以上働きます」
開業医も勤務医同様、過半数以上の51%が「管理されていない」と答えた。開業医は、医師でもあり、院長として病院を経営する立場でもあるためか「スタッフはタイムカード等で管理しているが、自身は管理していない」という声が多く見られた。
また、「在宅診療を行っているので、管理するのが少し難しい」という意見もあった。一般内科の70代医師は、
「相当の過重労働だと思います。診療、在宅訪問診療、医師会関係、行政関係委員会等、産業医、専門医関係など週末まで一日11時間以上働きます」
と激務ぶりを告白。その一方で、
「従業員に決まりはあるが、よほどひどくない限り遅刻、早退などはフレキシブル」(50代、皮膚科)
「全員同じ時間に開始して同じ時間に終業していますので特に必要は感じていません」(60代、一般内科)
という病院もあるようだ。
「管理している」と回答した開業医(49%)の中にも「スタッフの勤務時間は管理しているが、経営者である自分は管理していない」という人も見られた。しかし自身の勤務時間についてしっかり管理したとしても、最終的には患者の都合を優先するようだ。