学生の受け身傾向強まる? 学習方法は「教員が指導・支援するほうがよい」との回答が増加
授業スタイルを聞く質問では、近年注目されているアクティブ・ラーニング型の授業を受ける機会が増加しているようだ。「グループワークなどの共同作業をする授業」がよくあったと答えた学生は、8年前より20ポイント近く増加して71.4%に上った。
これに伴い、グループワークやパネルディスカッションの際の振る舞いも変化している。「異なる意見や立場に配慮する」(67.4%)、「自分の意見を言う」(58.9%)が共に最高値を記録したことから、今の学生は、集団の中で意見をスムーズに主張する訓練を積んでいると分かる。
ただ、全体的な傾向としては主体性の低下がみられる。大学・学部を選ぶ際、「興味のある学問分野がある」という理由で選んだのは54.5%と、これまでで最も低かった。「大学での学習の方法は、大学の授業で指導をうけるのがよい」という回答も11.4ポイント増えて50.7%、「大学生活については、大学の教員が指導・支援するほうがよい」は22.9ポイント増えて38.2%と、どれも過去8年で最も高くなっている。自分で工夫するより誰かに指導してほしい、という受け身の姿勢が強くなっているようだ。
こうした主体性の低さも影響しているのか、大学に対する総合的な満足度は51.1%と過去最低で、「期待通りの学生生活を送っている」人も48.1%と、調査開始以後初めて半数を下回った。
2人に1人は「友達と話が合わないと不安」、困ったときは「保護者が助けてくれる」
授業を選ぶ際には、「あまり興味がなくても、単位を楽にとれる授業がよい」と考える人が多く、8年前より12.5ポイント増加して61.4%だった。これは「単位を取るのが難しくても、自分の興味のある授業が良い」の38.6%を大幅に上回っている。
調査ではこの理由を明らかにしていないが、「学生生活でアルバイトに力を入れた」と回答した人の増加幅が6.7ポイントと他項目より大きい点に注目すると、アルバイトの時間確保と単位取得を両立させるため、負荷の小さい授業を選択する傾向が強まったのではないかとも推測できる。他にも、就活時に大学での学習履歴や成績を見る企業が増加したため、よりよい成績を楽に取りたいと考える学生が増えた可能性もありそうだ。
友達や保護者との関係も変化している。「一人で行動しても気にならない」と答えた学生の数は8年前と変わらず80%前後だったが、「友達と話が合わないと不安」と答えた人は56.9%と、42%から14ポイント増加していた。
困ったことが起きたときの対処方法も、「保護者が助けてくれる」(57.8%)が「自分で解決する」(42.2%)を上回り、初めて半数を越えた。意思決定においても、自分で決めるより「保護者のアドバイスや意見に従うことが多い」と答える割合が年々増加している。学生の受け身・他力傾向が強まっているようだ。
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