若手の離職を防ぐため「疑似家族」制度導入した会社に注目集まる 先輩社員と兄弟になるってどうなの?
番組で取り上げたのは、三重県に本社を置く製薬会社。従業員数は約130人で、今年4月には17人の新入社員が仲間入りした。
同社には、「プチコミファミリー制度」がある。新入社員1人と、所属部署の違う先輩社員数人が1つの疑似家族としてグループ分けされるもので、それぞれに「長男」「長女」などの呼称も付けられる。
導入のきっかけになったのは離職率の高さだ。改善のため頭を悩ませていたところ、社内アンケートや辞めていく若手社員から「社内に相談できる人がいない」「上司は自分を評価する人だから話しにくい」との声があったという。所属部署以外で相談できる人間関係を作り、新入社員が会社に馴染めるよう、複数の社員でバックアップする体制を作ることにした。
グループごとに二泊三日の「家族旅行」も実施される。旅行にかかる費用は全グループで年間700万円だというが、これもすべて会社が負担。オーストラリアや韓国など海外に行くグループもある。
番組では、徳島からやってきた新入社員の女性を追っていた。入社直後のグループの顔合わせでは
「ちょっと疲れました。飲み会の雰囲気に慣れるのとか」
と硬い表情を見せていたが、6月上旬の家族旅行では、メンバーに助けられながらもリーダー役をまっとう。8月下旬には、社内でグループメンバーを見つけると自ら話しかけるようにまで変わっていた。家族内で「長男」と呼ばれていた男性社員は、
「猛烈に仕事をしたから格好いいとか、怒られながら育っていったらいいという訳ではない。入った人が辞めない会社、周りから入りたいと言われるような会社を目指さなければいけない」
と述べていた。かつて20%を越えていた同社の入社3年以内の離職率は、制度の導入で5%にまで改善するなど効果はあったようだ。
ネットでは賛否「嫌すぎる」「他部署の社員に相談できる制度としては良いと思う」
しかし、番組放送後、ネットでは様々な感想が飛び交った。「所属部署以外の上司先輩社員に相談できる制度としては良いと思う」という肯定的な見方もあるが、
「他部署の人間を10人くらい集めて『家族』に分けて交流。い、嫌すぎる。話が合う人とか自然と見つかるだろうし、誰と話すかくらい決めさせてくれよと思わず」
など、拒否感を示す感想が多数見受けられた。会社では必要最低限の人間関係だけで十分、と考えている人にとっては少し苦痛かもしれない。
番組に出ていた新入社員の女性が、家族旅行でメンバーから就職祝いのボールペンを贈られていたことから、「贈り物まで貰って、辞めづらくなっているだけでは?」という声も出ていた。
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