「他の人がベビーカーを優先して降りるべき」という意見にも、「人間が一人降りたくらいで解決するものなのだろうか」と否定。病院の予約や出勤時間をずらしたり、在宅ワークにすることはできないのか、などと個人的な意見を出していました。
「一番良い解決法は満員電車をなくすこと」と言いますが、満員電車はすぐには解消せず、危険なことも変わらない。子どもが大好きだから、子どもが危険な目にあってしまうことが怖いと訴えます。一方的な罵詈雑言に比べれば、かなり気を遣って理解を求める長文でした。
とはいえ、800を超えたブックマークのコメントは、ほとんどが投稿者への批判でした。特に多かったのは、「子連れにだけ『その時間はやめて』と言うのは理不尽」との反論です。
「混雑時間帯をみんなで避ければ良いって話と同じで、それができるなら苦労はしないってことですね。増田(注:投稿者)にはそれを子連れだけに要求することの理不尽さに気づいてほしい」
「わからなくは無い。でも『近くの保育園に入れず、離れた保育園に預けるしか無い』『行動範囲の保育園全て落ちて入れなかった』という人もいるのを知ってくれ」
「確率と言うものをあなたは理解してない。(中略)100人のうち99人は実際それで乗ってない。でもどうしても回避できなかった残る1人をあなたは目にしている」
そもそも、我が子を危険なところに連れていきたい人などいません。全ての保育園に落ち、一緒に通勤するのは危険すぎて泣く泣く会社を辞めた人もいるはずです。
「満員電車になる状態を放置するのは行政と企業の怠慢」
一方で、「満員電車になる状態を放置するのは行政と企業の怠慢」といった指摘も多くみられます。国は子連れ出勤を奨励する動きを見せており、企業内保育も少しずつ増えてきてはいます。ですが、利用するには子連れが利用しやすい公共の移動手段が必要です。
こうした要望は高まっており、今年2月には、市民団体「子どもの安全な移動を考えるパートナーズ」が、東京都の小池百合子知事に「子育て応援車両設置」(障がいを持つ方も含む)を求める要望書を提出しました。通勤ラッシュに重なる時間帯の電車・地下鉄での運行を求めています。小池知事も「2019年度には、都営地下鉄の一部車両に子育て支援スペースを設置する予定」と語りました。
筆者が都心の満員電車に乗っていた15年ほど前には、ベビーカーで満員電車に乗る人は皆無でした。都内で働く友人によれば、今やお父さんが赤ちゃんを背負って通勤する姿もあるとのこと。「子どもがいる人」対「いない人」の争いは不毛です。人々の暮らし方が変われば、システムの改善に声を上げていくべきでしょう。