経営者の中には、「働き方改革=残業をさせない」と安易に考える人がいる。長時間労働をなくすのは大切だが、残業規制は手段のひとつにすぎず、業務フローの見直しや適切な人員配置の検討とセットで考えなければならない。
キャリコネニュース読者からは、表面的で”雑”な改革をされて迷惑という声が続々と寄せられている。
「残業はするな、土曜日、日曜は休め 基本給は上がらず!実質賃金低下!何が働き方改革じゃ」(40代男性、技術職)
「残業代なしで生活は苦しく、残業削減ルールが厳しく必要な仕事まで削減、あるいは自宅に持ち帰りしている」(50代男性、管理・事務職)
「現場管理職が『朝残業』を推奨し、朝6時から働く社員も発生するようになった」
技術職の40代男性の勤務先では、全社的に20時以降の残業規制が強まった。そのため月に一定回数以上、20時以降の残業をする場合、周りからの圧力がかかるようになったという。男性は、「残業を削減すること自体は好ましいこと」としながらも、
「業務そのものが改善されず業務量が多いのと、緊急対応等で残業を避けられない場合もあり、この場合は現場管理職が『朝残業』を推奨することで朝6時や7時から働く社員も発生するようになった」
と書いている。夜は早く帰るかわりに、朝早く出社する状況になっているのだ。男性の職場、実は働き方改革以前から、朝早くの出社は許されていた。個人の事情で「朝残業」か「夜残業」か自由に選べたのだ。
しかし改革が始まってからは、「夜残業」だけが一方的に規制され、「朝残業」が奨励されており、男性は違和感を抱く。
「残業削減=コスト低減の動機が透けて見える『働き方改革』により、現場では働き方を狭める方向のみを推進する運用となっているのが実態である」
と嘆いている。
「納期守れませんって笑って言える世の中にならない限り、下っ端の人間が常に損をする」
同じく技術職の30代男性も、会社が進める改革に不信感を持っている。管理職が重視するのは、「月の残業時間のリミット」ばかり。残業をさせないためにどんな行動をしているかと言えば、残業が多い人間に「残業するな」と言うだけだという。
「技術職は残業しないと終わらない仕事を背負っていた場合、管理職に残業するなと言われたら、サービス残業をして仕事を終わらすしかありません」
というありさまだ。
業務量を減らせない場合は人を増やす必要があるが、男性は「そもそも技術職では人を増やしてなんとかなるわけではありません。そんな簡単な仕事なんてしていません」とコメント。
「『労務管理の関係で、やっぱり納期守れません』って笑って言える世の中にならない限り、下っ端の人間が常に損をしている事を、政府は分かっていないのか疑問です」
と指摘する。また、残業がサービス残業に入れ替わったことで、「所得は確実に下がり、モチベーションは落ちています」と心境を書いている。これが現場で起こっていることだ。これを「働き方改革」と呼んでいいのだろうか。
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