「私にできないのは仕事に関する夢を語ること」 女子大生が明かすシューカツの悩み
3月に入り2016年卒向けの採用活動が本格化する中、5日にはてな匿名ダイアリーに寄せられた就活生の悩みがネット上で話題を呼んでいる。
筆者は、自称・旧帝大の文系学部に通う3年の女子学生。これから本格的に始まる就活が「憂鬱」で仕方ない。理由は、面接の場で就活生が熱く語る「志望動機」を自身が持ち合わせていない、というのだ。
「志望理由なんてあるわけねーよばーか」
エントリーの題は「適当に生きられなくてしんどい」というもの。「私は仕事を通した自己実現なんて求めていないし、社会を良くするというような使命感も持ち合わせていない」と明かす。
自分が生活できるだけのお金を稼げて、休日に休めることぐらいしか望んでいない。志望理由を聞かれても、こうした条件を満たせそうだからとしか言えない。それでは通らないとわかっているが、なかなか難しいという。
「数十社も受けなきゃいけない中で上位数社以外に志望理由なんてあるわけねーよばーか。一度も働いたことの無い学生に当社でどのようなことがしたいですかと聞かれても言えるわけねーよばーか」
就活は自分をアピールする場だと分かっていても、自分の美点を語るのは恥ずかしいと感じる。「私にできないのは、自分をアピールすることと仕事に関する夢を語ること」。
その一方で、自分は働けば人並みに仕事はできるとも思っているし、フリーターや一般職で働くことはプライドが許さない。
「ばかだなあ、適当にやっとけばいいのにって、そう自分でも思うけど、やっぱりできないのだ。恥ずかしげもなく夢を語れる人間に生まれたかった」
共感コメント「志望動機は法律で禁じるべき」
これがはてなを中心に話題になったが、コメントの中には「わかる」「俺もこんな感じだった」と共感するコメントも一部ある。「仕事に自己実現を求めない人が悩む社会おかしい」と主張する人は、こう断言する。
「食えればいいんだ。志望動機は法律で禁じるべき」
一方で、厳しい声も少なくない。最初から仕事に興味を持てないのも仕方ないが、就活生の「自分は◯◯に興味があります」という言葉は、自分に言い聞かせているという側面もあるので、それくらい乗り越えなくてはいけないというのだ。
問題は就活ではなく、投稿主の過剰な自意識にある、という声もある。「適当に生きる」「恥ずかしげもなく」と世の中を見下すことで、自分の怠惰と頑迷さを隠している、という指摘のほか、「自意識は神様に預けて、恥ずかしがらずに自分をアピールすればいい」というアドバイスもある。
中には筆者を「李徴」になぞらえる人も。中国の伝記を基にした中島敦の小説『山月記』に登場する人物で、郷里の秀才だったが役人を辞めて詩人を目指すも挫折。小役人として再度働き始めるが、李徴の「臆病な自尊心と、尊大な羞恥心」はその境遇を受け入れることができず、発狂して虎になってしまう、という話だ。
しかも李徴は自身の詩才がないことを認めるのを恐れて、あえて苦学することがなかった。今回の投稿も、「肥大化した自意識」によって就活を敬遠しているという点で『山月記』と同じ、ということだろうか。
「会社の人に推薦したい」という人も現れた
ただ、こうして話題になったことは、筆者にとっていいこともあったようだ。元記事では「こんな人間いりませんか!? スカウトお待ちしております。ガチで」と書いていたが、企業経営者や会社員からは連絡先付きで
「私は東京のIT企業で働いている者で、人事ではないですが、できる範囲で会社の人に推薦したいと思いました」
といったコメントも寄せられていた。
あわせてよみたい:志望企業をくじ引きと占いで決める「ベツルート」が焼肉採用
- 何になりたいかわからないけど就活を始めるあなたへ まず自己分析をやめるとうまくいく
-
- 発売元: 高陵社書店
- 価格: ¥ 1,296