今年もブラック企業に関するニュースが相次いだ。ブラック企業大賞も発表されたが、単なる見せしめではなく働く人にとって有意義なものであってほしいところだ。キャリコネニュース読者からは、
「月平均200時間超の残業が継続している。残業代は出ない」(30代男性、管理・事務職)
「1日16時間以上の拘束」(30代男性、建築・土木系技術職)
「変な研修、ワンマン、パワハラ、いじめ」(20代女性、販売・サービス職)
といった声が寄せられている。販売・サービス職の30代男性は、「入社してわずか5日で事実上の新卒カードを失った」という会社でのことを振り返る。
炎天下の下で12時間労働するも、手渡されたのは1500円
リーマンショック後ということもあり、男性は大学在学中に内定が決まらなかった。卒業後に行ったハローワーク主催の合同就職説明会を経て入社した会社だった。説明会や面接では、「貿易関係の仕事で英語も生かせる。音楽関係の事業への参入も考えている」と説明を受けていた。
「焦って下調べもしなかったのですが、新卒だから最初の1か月は座学があって、名刺の渡し方やビジネスマナーを教えられ、3か月~半年くらいは先輩と一緒に仕事してから一人で任せられる、というようなOJTがあるものだと思っていました」
しかし、実際の仕事内容は貿易関係などではなかった。和菓子や即席麺を発泡スチロールの箱に入れて、リヤカーを転がしながら各家庭や企業を訪問する、いわゆる訪問販売だった。男性は壮絶な初日について綴る。
「朝礼では全員で円陣を組んで、一人ずつ『今日の目標イェー!今日は〇〇するぞ、オー!』と気合いを入れ、初日から真夏の炎天下の中で12時間労働。当日までどこに行くか知らされず、訪問場所までの交通費は自腹でした」
先輩と一緒ではあったものの見ず知らずの土地で歩き回された。フラフラになりながら会社に戻ると22時すぎだったという。
「帰りに先輩に呼び出され何かコソコソしてると思ったら、現金を渡されてその金額はわずか1500円。時給換算すると100円ちょっとでした」
また、初日の訪問販売では「A社の〇〇です」、2日目は「B社の〇〇です」、3日目は「C社の〇〇です」と毎日異なる企業名を使って訪問販売をしていた。社長はそのことについて、「これは屋号だから」と説明していたという。
そして4日目の夜、「じゃあ明日から一人でできるよね?明日から朝6時に出勤で」と言われた。
「何も知らずに面接で『定年まで勤めたい』と言っていた自分がバカみたいでした」
「その場はお茶を濁して翌日も頑張って出勤しましたが、帰宅して両親に相談し退社の電話をしました。いつの間にか独立するのが当たり前みたいな話になってるし、何も知らずに面接で『定年まで勤めたい』と言っていた自分がバカみたいでした」
男性は退職後、その会社が「お菓子の移動販売をするマルチ商法で有名な企業だった」ということを知った。
「色んな屋号を日々使い分け、首都圏などでよく見られる”駅前のフルーツ売り”と同じ商法です」
という。また、「大学を卒業した直後で天下のハローワークだからと信用しきっていたので、こんな企業を手助けしてるなんて知りませんでした」と綴っている。
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